江戸切子

常連の患者さんから、江戸切子をいただきました。涼を感じます。

行程には、高い集中力と巧緻性が必要なことと思います。外科医であれば、質の高い手術をされるのだろうと思います。

皆さんいろいろと一芸をお持ちで、こういった交流も、町医者の醍醐味だなあと感じています。ありがとうございます。

 

 

ラストサムライ

講演会で久しぶりに藤津先生にお会いしました。藤津和彦先生は、国立病院機構横浜医療センター脳神経外科を統括する指導者です。私の手術の基礎は藤津流であり、不屈に正確に目的を達する心構えを植え付けていただきました。10-20年前は、血管内手術や放射線治療・化学療法・内視鏡の技術は、今のように充実していない時代で、あくまでもマイクロサージェリーで脳幹部であれ頭蓋底であれ、日をまたいで手術をしていました。高度な顕微鏡手術技術を有し、現在の脳神経外科学の基礎をつくられた1人です。

テクノロジーの進歩により、現在の脳神経外科治療方法は多岐にわたります。一方で、藤津先生のように顕微鏡手術で数多くの難症例を経験できる脳外科医は少なくなっており、まさにラストサムライではないかと思います。教えられた精神は、医療者としての根源を作るものであり、大切にしていきたいと思います。

国立病院横浜医療センターは、戸塚で降りてバスで原宿の交差点付近です。高難易度手術症例のケースは、是非ご相談したいと思います。

山本哲哉 新教授

第4代 横浜市立大学脳神経外科教室 教授に就任された、山本哲哉先生の講演会がありました。多くの医局員・同門会員が参集しました。とても柔和で、各医員の個性を見極めて伸ばしていただけると思います。領域は幅広く専門とされておりますが、特に小児脳腫瘍は国内トップクラスです。福浦本院も新体制で力をつけてきており、ほかにもグリオーマをはじめとした悪性脳腫瘍や、脊髄病変は、神奈川県でも中核です。当院からも是非相談し、連携を密にしていきたいと思います。

写真は、左から、私・山本教授・南共済脳神経外科部長浅田先生です。複数の医局員より、雰囲気が似ているとあったので、並んで撮ってみました。お二人とも、ずっとさわやかです。失礼いたしました。

神奈川認知症フォーラム

神奈川認知症フォーラムで講演させていただきました。認知症診療に注力されている精神科・脳神経外科の先生方と、有意義なお話ができました。

自分の講演では、開業半年間での「物忘れ外来」の統計、認知症診療におけるMRIの有用性につきお話させていただきました。

北村ゆり先生の前頭葉症状のお話はとても勉強になりました。前頭葉は、運動や言語をつかさどる部分と、その前方にある前頭前野に分けられます。前頭前野の機能障害はアルツハイマー型認知症では多く見られ、がまんができない・うつ症状・無気力・情緒不安定・計画実行機能障害・注意障害などがあります。同じことを尋ねる・話すなどの短期記憶障害よりも、介護者負担を増やすものです。これらの症状を見極めて対応することで、患者さんも介護者も充実した「認知症生活」を送ることができると感じます。

群発頭痛とその類縁疾患

突然重度の頭痛が連日性に繰り返す場合、群発頭痛かもしれません。群発頭痛は、片方の目や側頭部に限局し、夜を中心とした決まった時間に発生します。視床下部の体内時計にその発生源があると考えられており、その時間的正確さを裏付けていると思います。一般的に、頭部自律神経症状を伴うとありますが、自覚されない場合もあり、注意が必要です。毎夜繰り返し起きるため、睡眠不足となり生活支障度は高いです。

群発頭痛は、三叉神経自律神経性頭痛TACsのくくりに入っており、持続時間によって、片側頭痛やSUNCT/SUNA(サンクトスナ)と疾患名が変わります。背景にあるメカニズムも異なると考えられており、治療薬も異なります。

また、診察時に群発頭痛と思った方でも、MRIで二次性頭痛であったケースも多々あります。怖いものでは、椎骨動脈解離・脳動脈瘤切迫破裂(特にICPC)があります。椎骨動脈解離は、片側後頭部の持続痛と思われがちですが、側頭部に放散する場合もあります。他にも、副鼻腔炎・一次性穿刺様頭痛・緑内障・内頚動脈海綿静脈洞瘻・三叉神経痛などがあり、それぞれ対応が変わります。SUNCT/SUNAは三叉神経に腫瘍があったり血管圧迫があったりとの報告もあり、精査が勧められます。一般的には三叉神経痛といえば「典型的三叉神経痛」を指します。頬や歯に発作性の痛みがあり、歯磨きなどで痛みが誘発されるトリガーがあり、痛み発作の後に痛みが誘発されないフェーズがあるなどの特徴がありますが、SUNCT/SUNAは眼周囲の三叉神経痛の可能性もあるのではと思います。

TACsはそれぞれ予防薬・頓用方法が変わります。酸素が有効な場合もあります。一旦収まっても忘れたころにまたやってきますので、お気軽にご相談ください。

効果的な認知症ケア

ノバルティスファーマ主催、脳神経外科認知症カンファランスがありました。脳神経外科で認知症診療に注力する先生方が集まり、意見交換しました。

朝田隆先生のお話で、患者さんができないことを詳細に観察し、できない要素を見つけることが効率的なケアに重要とありました。トイレができない、歯磨きができないなどの生活動作の障害をよく観察することで、できない部分を抽出することが重要です。例えば歯磨きができない時、場所がわからない・歯磨きの扱い方がわからない・口をゆすげない・歯ブラシの場所がわからない・それらの順番がわからない・・・などの要素に分け、できないところを見分けてアプローチすることで、一連の行為ができるようになります。お薬調整以上のテーラーメイドケアだと感じます。

また、会には脳腫瘍のレジェンド、現在では認知症のスペシャリストである堀智勝先生もいらっしゃいました。以前手術に専念していた時には、壇上の雲の上の存在でしたが、身近にいろいろお話ができてよかったです。

Bill Evans

ある患者さんから、Bill Evansの貴重なライブDVDをいただきました。患者さんには、ジャズ愛好家や、ピアニストも多くいらっしゃいます。私も、腕はさておき、40年近くピアノを続けていまして、診療中に雑談で盛り上がったりします。

Bill Evansは、1960-1970年代に活躍したジャズピアニストで、独特な哀愁ただよう日本人好みの演奏をします。当時は、バップからモードへの転換期でいろいろな技法が試された時代で、Miles Davisバンドにも参加して名演を残しています。3,7,9,13やクラスターなどの独特の和声、頻繁なリハモ、多様なスケール、シンコペーションが印象的です。彼の演奏技法は、ジャズ理論を大きく前進させ、またその後の多くの演奏家に多大な影響を与えました。

写真の演奏は、ビルエバンスが50歳でなくなる1年前のもので、数少ないカラーのライブ映像です。髭の時代といわれます。演奏する手は、肝機能障害の影響と思われるむくみが強いですが、演奏の切れは抜群で、トークにも配慮している様子が伺えます。その1年後にライブ活動中に亡くなるまで、死を覚悟しながらも演奏を精力的に続けている姿もまた、惹かれます。

冠婚葬祭でみつかる認知症

横浜市立大学精神医学教室の認知症研究会がありました。精神科医局メインの会でしたが、医学部や部活関連の懐かしい先生方ともお会いでき、楽しかったです。

代表的な若年性認知症のひとつである、前頭側頭型認知症(病理学的には、前頭側頭葉変性症)の講演がありました。診断基準はNeary(1998)、Rascovsky(2011)があります。空間認知・記憶は保持されますが、以下のような行動異常があれば疑わしいです。反社会的行為(万引きなど)・脱抑制(我慢ができな)・被影響性の亢進(じっとできずすぐに周りに反応してしまう)・整容服装の乱れ・共感性欠如(そっけない対応)・常同行動(きっかりした時刻表的行動や無意味な反復した動作)・食行動変化(甘いものやからいものを好む)などがあります。

これらは、日常生活での誤差範囲との差がつかみにくいと思います。今回の新井先生のお話で、冠婚葬祭の場で、これらの変化がみつかることが多いとのお話があり、患者さん家族に確認しやすい問診のポイントと思いました。緊張感を保持すべき冠婚葬祭の場において、普段着で来て、場にそぐわない言動を平気でし、礼儀がないなどで、「あの方、大丈夫?」との話につながるようです。

健康長寿の秘訣

天気の良い連休でした。足を延ばし、懐かしいところを訪れました。

小田原勤務時代、治療家としての心構えや、脳神経組織の精巧さから感じる哲学を探求したいと思い、足蹴く通った禅刹があります。小田原郊外、久野というところにある東泉禅院です。大御所である岸老師は、幅広い活動をされており、間中信也先生と開催した地区医師会の講演もお願いしたことがあります。

岸老師とは、約8年ほど前に小田原を離れて以来、久しぶりの挨拶となりました。定例座禅会や、名句を堪能する指月会の開催など、91歳を迎える今でも積極的に行っていると知り、驚きました。老師の禅からみる現代社会の抱える様々な問題と解決法を聞いていると、仙人に見えてきます。

当クリニックにも80歳を超える元気な方々も大勢いらっしゃいまして、自分が将来こう活動的でいられるか?と疑問を感じます。岸老師は、禅芸術方面の活動も盛んになっているとのことで、ますます生き生きとしてらっしゃいました。健康長寿の秘訣は、常に前向きにできることを続けていくことだと感じます。

写真は、今回いただいた老師の著書で、座禅前に30分ほど話す法話を檀家さんがまとめられたものです。「その日の気分でパッと開いたところ一説だけ読んでね」と言われました。私は一気に読んでしまったので、クリニック待合に置きますので、お手にとってみてください。おもしろい禅の世界を垣間見れます。

開院0.5周年を迎えて

4月末で、開業半年が経過しました。約1500名の方にご利用いただいております。1/3の約500名が頭痛外来を。約200名が物忘れ外来を利用されました。残りは、外傷・めまい・脳腫瘍などの脳神経外科専門領域・脳ドック・他の医療機関からのMRI共同利用などです。

周囲の医療機関に支えられ、多くの連携をいただき、またこちらからご相談させていただきました。これからも、迅速・正確・誠実な、最先端のエビデンスを反映した丁寧な診療を心がけていきたいと思います。