頭痛専門医の使命は、3つあります。
1.二次性頭痛の診断
簡にして要を得た問診とMRIや採血などの検査であるていど除外できます。髄液検査が必要な場合は対応できる医療機関に相談します。特に、低随液圧症候群 可逆性脳血管攣縮症候群 椎骨動脈解離 キアリ奇形 典型的三叉神経痛 舌咽神経痛 血管炎、髄膜炎、視神経炎、緑内障、水疱の遅れる帯状疱疹などは、診断も含め慣れと経験が必要です。問診診察だけや、CTだけではわからない部分もありますので注意が必要です。
2.一次性頭痛の鑑別と治療
特に頭痛専門医に期待される部分です。上記に示したように、一次性頭痛は片頭痛と緊張型頭痛だけではありません。地道な問診と頭痛ダイアリーによる定量評価(EBM)が解決の近道です。
3.抗CGRP関連薬(CGRPmAbs)の経験が豊富(エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ)
こちらも特に頭痛専門医に期待される部分です。昭和・平成の従来予防薬や漢方は、片頭痛のメカニズムに間接的に作用するものであり、副作用や禁忌もあります。片頭痛の頻度・重症度が増加している局面(EM⇒CM conversion):頭痛日数が月10日を超えるような高頻度反復性片頭痛EMで頭痛があたりまえとなり、加えて薬物乱用頭痛MOHが併発することにより慢性片頭痛移行がOdds比40倍となり難治化します。そうなると、転職・欠勤・欠席が当たり前となるような高度な生活支障・労働生産性が低下しますので、受験や入職をクリアしたり・休職退職危機を回避するAlternativeとしてCGRP薬は適応になります。高額なお薬(患者負担・公費負担ともに)なため、必要十分性を常に考えながら、開始基準~メンテナンス~テーパーオフ(卒薬)のタイミングを患者・医師で決める必要がありますshared decision making (SDM)。CGRP薬をうまく使っていく技とピットフォールが日暮個人で感じつつあります。是非、ご相談でもいらしてください。
初診でも当日内早めに対応し、脳卒中などの怖い二次性頭痛を除外すように心がけています。「正しい治療は、正しい診断から」であり、頭痛管理ツールを使用し、薬を使わないアイデアも併せて行います。生活リズムの調整や、ストレスマネージメントに加え、日々の姿勢や頭痛体操などを指導しております。