開院4年が経過しました

おかげさまで、開院して4年が経過しました。13500人の方々にご利用いただいております。理念や診療方針は、開院から一貫して護持しております。

頭痛外来では、脳卒中や脳腫瘍などの怖い二次性頭痛の診断を迅速に行うとともに、片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛などで治療に難渋しているケースも試行錯誤しながらも粘り強くフォローしています。もの忘れ外来では、横浜市の健診や、二次健診の依頼から、認知症になったかもしれない~軽度認知障害~各種認知症の診断と治療をしています。せん妄や陽性症状のために家族が疲弊しているケースにおいては、投薬治療・家族指導~介護保険サービスの調整・精神科入院などの相談をしています。また、大学の先生方に助けをかりながら、てんかん・しびれ・パーキンソンや本態性振戦などのふるえに関しても専門外来を設けています。

私個人の人生修行において、「良いことを」「心をこめて」「繰り返す」を信条としており、開院からいままでもこれからも、ただひたすらに目の前のひとりひとりに集中して診療してまいります。

近況報告ー産業医ー脳卒中と胃潰瘍の関係ー

晩夏はコロナが何となく落ち着きつつある状況ですが、残暑が続き熱中症には配慮が必要な日々が続いております。熱中症は細胞内脱水をひきおこし、慢性的にじりじりと自律神経の失調を誘発します。失神・せん妄はわかりやすい氷山の一角ですが、片頭痛・閃輝暗点・てんかんや痙攣性疾患の増悪・めまいなどの自律神経失調症の不定主訴は多岐にわたります。水・熱の管理の重要性を外来ではアドバイスしています。

医療関係者の集会は困難な日々が続いています。オンラインが主流となりつつあります。今回、横浜市立市民病院 脳血管内治療科 増尾修先生のオンライン講演の座長をさせていただきました。

新病院としてスタートした横浜市民病院は、当院からも近く、いつも迅速に急患を受け入れていただき助かっております。増尾先生グループは、治療適応も妥当で、治療技術も高く、最先端の血管内治療も早く反映できる立ち位置にある印象です。今回は、脳卒中のもらい事故でよくある胃潰瘍(クッシング潰瘍やアスピリン潰瘍)の予防につきご講演いただきました。

その前、本日午後は、市大センター病院高度救命センターの川崎先生が当院代診をしていただいておりましたので、なかなか聞けない産業医の研修にも行ってまいりました。長時間労働や高ストレスは、産業医の中ではここ数年のトピックスです。加えて直近の話題としては、コロナによる在宅勤務者の病気・雇用関連に関するトラブルに関しても産業医は関わらなければならないことを認識させていただきました。コロナ労災の話では、今のところ全国で約1000人の申し出があり、多くは医療関係者のようでした。在宅勤務による運動不足や社交不足・家族内距離感の緊密化などによるメンタルヘルスのトラブルが増えており、産業医としても、当院診療においても、それらに配慮してアドバイスしていく必要があると考えました。

夏季休暇おしらせ

8月16日まで夏季休業です。8月17日から、診療再開します。コロナ感染者の診断数が増え、自由に休むといった感じではないですが、気は長く・心は丸く・腹立てず、一時一時を味わって過ごしたいものです。マスク着用のなか熱中症や脱水には注意してください。飛沫感染予防=マスク・小声・距離、接触感染予防=手指ほかアルコール消毒。

コロナに関しては、3月からの波に比べ、重症化率が低いのが幸いです。数が増えているのは、濃厚接触者のPCRが増えて、無症候キャリア(感染が成立していない?)が頭数に入っていることもあります。今春、世界で猛威をふるったウイルスだけに、まだまだ気は緩められません。一方で、コロナウイルスはウイルス学の教科書にもある常連古株であり、ころころ変異を繰り返すことも考えられます。今のPCRに偽陽性が含まれていないか、春のサブタイプのみを拾えているのか、気道粘膜以外の部分(皮膚や周囲のもの)に付着している状態でも陽性になるのではないか、、などの疑問は感じます。再度重症化率が増えて医療崩壊するのも怖いですし、すでに弱毒化(いわゆる風邪化)しているのに社会活動規制を高いレベルで維持して経済が壊滅するのも怖いです。科学の基本は、他因子をそろえて数値比較しますが、PCR検査対象を増やして分母が増えている状況において分子のみ目立って報道されているので、自然科学に携わらない多くの人には恐怖を与えてしまうのではないでしょうか。専門職には、リアルタイムの正確な性質分析を随時頑張っていただきたいと願います。

医療の一端を担うものとして、注意深く状況を観察し、安全に医院を運営し、患者さんをサポートしていきたいと思います。脳に関するご相談は、お気軽にご相談ください。

近況報告ー横浜市大病院 横浜市民病院ー

とりあえずコロナがおちつきつつありますが、日々暑くなって参りました。距離+マスクを適宜つけての熱中症対策が必要です。日々診療連携しているなかで、face to faceの顔の見える連携は大切です。エチケットを守りつつ横浜市関連の施設と情報交換会がありました。同じ空間でじっくりお話することはやはり話題を掘り下げる力があると感じます。

当院の診療にもご支援いただいている、横浜市立大学脳神経外科 山本哲哉教授と情報交換をしました。当院との連携や、脳神経外科教室のことなどお話しました。私見ですが脳疾患に対する診断・治療方法は、科学の進歩にあわせて、おおよそ10年単位で大きく変化する印象です。横浜エリアは、都市ユニットとしてのコホート人口も多く、市大脳外科医局への入局者数は全国でもトップクラスの人気がありますので、次の10年へ向かって様々な発信を生み出す可能性を有しています。たとえば亜専門領域subspecialtyでは、脳血管内治療における巨大脳動脈瘤や動脈解離へのデバイスの進歩 難治性てんかんやパーキンソン病などへの外科治療 特殊性の高い腫瘍(頭蓋底・膠芽腫・小児)に対する集学的治療 などです。臨床研究や治験などで常に鍛えていく必要があります。医療の進歩の方向は、より低侵襲で効果的かつ治療結果の外科医差の少なくなる技法の開発へ向かっていますが、未だ高い技量と長い時間を要する顕微鏡手術およびそれを遂行するサムライスピリットは必須です。

ダイヤモンドプリンセスへの対応などで奮闘した横浜市立市民病院。ちょうど同じタイミングで、最先端設備を備えた新病院として新たにスタートしています。同院 脳血管内治療科を統率する増尾先生が機会を作っていただき、近隣の脳神経外科クリニックの先生方と、脳卒中診療の設備などを内覧させていただきました。子安先生(子安脳神経外科クリニック)太田先生(新緑脳神経外科)宮崎先生(よこはま高島町クリニック)私で、連携について相談しました。脳卒中の治療は、開頭から血管内治療に大幅に移行しつつあります。血管内治療を行うカテーテル室の設備がすばらしかったのと、オペ室の中廊下がとても長く、ICU CCU HCUの規模の大きさにも驚きました。

コロナ第一波終息時における脳疾患管理への考察

平生でも脳に関する疾患・悩みは多いですが、コロナ禍となり、更なる負荷が加わっております。これも世の常、生きている限り課題はつきません。
我々としては、今ある情報の中で、妥当な生活スタイルを冷静に模索することが賢明です。個人レベルで行う防疫は周知されております。今回は、当院で扱う疾患患者さんへの注意喚起・アドバイスをいくつかあげたいと思います。
・不顕性感染への配慮:熱発や感染症状増悪しているケースは感染力が高くなりますので、該当する場合は当院での診療は控えていただいております。一方、感染者の多くは軽症(一般的なかぜ様)~無症候キャリアです。 この場合の感染力は不明ですが、スタッフと患者さんのマスク着用と、施設内接触部位の消毒を行っております。次の感染バリケードとしては各個人での一般的に周知されている感染対策となります。最終的には、かかっても負けない免疫力の維持(日々の体調管理)が必要です。
・フレイルに注意:特に脳卒中や認知症(MCIレベルを含む)患者さんは、コロナ施策によるフレイル・廃用性萎縮・認知症の増悪に配慮する必要があります。外出自粛やデイサービスの休止→足腰の筋力の廃用性萎縮→脳血流低下→社会活動範囲の縮小→廃用性萎縮・・・と負のスパイラルに陥ることで急激に増悪します。さらに、マスク着用での生活や、夏の到来で、熱中症リスクも加わります。対策としては、自宅内での筋トレ・ストレッチ・体操のルーチン化や、涼しい時間帯に人の少ない散歩コースを模索するとよいのではないでしょうか。
・頭痛に対する影響:運動不足や先行き不安、在宅勤務による作業環境の変化により、慢性頭痛が増悪するケースが増えています。個々の生活仕様を伺って、現状でベストな環境調整を一緒に考えましょう。一方で、対人ストレスや出勤ストレスのあった方は、自宅待機で頭痛が軽快しているケースもあります。社会の在り方が大幅に見直されており、余分であった社会的ストレス緩和には期待の持てる部分もあると思います。
・診断の遅れに注意:4月からの2か月の自験例で、くも膜下出血を発症して1週間前後経過しているケースが3例もありました。社会に配慮して外出自粛を過度に守るがゆえ、自身の違和感を我慢しすぎて診断が遅れてしまう可能性があります。脳神経疾患の中には、軽微な症状であっても重大な前兆である病気があります。普段とは異なる違和感がある場合、感染対策には配慮お願いしたうえで、積極的にご相談ください。
・日々の健康習慣幅の縮小:外出自粛やマスク着用、トレーニング施設の休止など、健康増進のために日々行っているルーチンに制限をきたしています。コロナとのうまい付き合い方が不明確な今は、辛抱して妥協策を個別に検討する必要があります。特に高齢者は、上記フレイルへの配慮から、注意が必要です。
今の状況は、諸行無常などといわれているがごとく、常に移ろいます。今までは防戦一方な印象ですが、一次予防の確立・発症時の重症度分類による個別対策・一部の播種性血管内凝固DICのような重症例に対するICUプロトコルの確立・ワクチンによる集団免疫・・とテコ入れは迅速です。全人類共通の課題でもあり、研究機関・製薬業界・医療機関のヒートアップは過去類をみないものです。
当院の診察でテンポラリーに気を付けていることは、診療所内に極力3密をつくらないことです。診療の質を維持して簡にして要な診療に集中して参ります。また、ファックス処方・電話再診のほか、現金接触低減を鑑みてクレジットカードを導入しております。

4つの特殊外来のお知らせ

当院で新たに開設した特殊外来をご紹介いたします。

1 てんかん外来:横浜市大脳神経外科てんかん専門医 東島先生が第1 3 5水曜日に担当いたします。てんかんの慢性的なフォローや適切な処方調整のご相談、投薬難治のてんかんに対する外科的アプローチの相談を受け付けています。

2 ふるえ外来:同上東島先生は、機能的定位脳手術技術認定医でもあり、パーキンソン病や本態性振戦、慢性疼痛に対する、脳深部刺激療法DBSを市大の神経内科と行っています。DBSの術後患者さんの機器調整も当院に完備しております。ふるえや慢性の痛みに関しても併せてご相談ください。

3 しびれ外来:横浜市大脳神経外科から脊椎脊髄専門医 佐藤充先生が、第2 4水曜日に担当いたします。頚椎・末梢神経由来の慢性疼痛やしびれに関して、精査・診察いたします。

4 教授外来:横浜市大脳神経外科主任教授 山本哲哉先生が第1金曜日PM担当いたします。4月から横浜市立大学附属病院副院長にも就任され、ご多忙の中でも丁寧な外来診療をいただいております。遠方な市大福浦への通院が困難な首都圏の患者さんなどが気軽に受診できる出張診療場所としての利便性に期待しています。

比較的横浜駅に近い脳神経外科連携会

会合のアップばかりで恐縮ですが、横浜駅に比較的近いところで活躍している脳血管内治療家と脳神経外科クリニックの連携会がありました。尊敬するクリニック先輩方と、血管内治療や手術をお願いしている心強い治療家の先生方です。血管内治療におけるデバイスの進歩やエリア連携などの話、医局の話(市大・慈恵・つくば)など尽きませんでした。個人的には、子安先生・宮崎先生にクリニック経営の疑問点を相談し、教えていただき助かりました。当院ご利用者さんでご縁がある方もいると思いますので、当ブログ恒例により、私を除いた左から先生方をご紹介いたします。

増尾修先生(横浜市民病院 血管内治療科部長)いちばん当院に近く、高難度症例もいつも丁寧に対応していただいております。

中居康展先生(横浜市立脳卒中・神経脊椎センター 血管内治療センター長)昨年筑波大学から市大関連施設長へ就任された血管内治療医。磯子区・金沢区方面の患者さんをご紹介対応いただいております。

子安英樹先生(子安脳神経外科クリニック院長)横浜の脳神経外科クリニックの草分けかつ最大規模です。私も開業前バイトでいっていたことがあり、子安先生の人柄と経営手腕を学びました。

宮崎喜寛先生(よこはま高島町クリニック院長)前宮崎脳神経外科病院院長。医師会の神経研究会などでお世話になっている先輩です。

郭彰吾先生(脳神経外科東横浜病院副院長)羽沢を中心にQQを受けています。慈恵医大との連携もある病院で、当院で発生したQQも迅速にお迎えしてくれています。

坂田勝巳先生(市民総合医療センター脳神経外科准教授)横浜で頭蓋底外科を牽引する古くからお世話になっている先輩です。全国区の手術エキスパート人脈が広く、いろいろと楽しいです。

清水信行先生(横浜市立大学附属病院脳神経外科講師)当院火曜日の代診を担当していただいています。市大医局の主要構成員であり応援しています。

手技にこだわる脳神経外科ビデオセミナー

第7回「手技にこだわる脳神経外科ビデオセミナー -手術における”みる”とはなにかー」が開催されました。手術手技で勝負するサムライのような方々が集まり議論する会です。今回は、市大センター病院 坂田勝巳准教授が当番幹事で、「日暮もこういうの好きなんだから来い」とお声かけいただき、開業医身分ですが、末席に加わりました。

側頭骨周辺の頭蓋底腫瘍や動脈瘤、脳室間脳周辺の腫瘍などの、きわめて高難度手術(no man`s land 人の手が加えられない領域)に果敢にチャレンジする超人です。東京医大の河野教授、信州大学名誉教授の本郷先生、筑波大学の阿久津先生、藤田保健の長谷川光広教授と。川原教授(前横浜市大脳外科教授)と仕事をしていた時に、飲み会や手術見学などでお世話になった先生方が多く、開業以来久しぶりにお話できよかったです。

二次会は、会場近所の焼き肉屋でさらに熱い議論が繰り広げられました。日本医大の森田教授、横浜市大の村田先生、東京大学の辛先生、最後尾で輝いている亀田の波出石先生、同世代の脳外科医と有意義な情報交換ができました。24時間手術や3日寝ないで平気的な、誠実なサムライ方と今後も連携してまいりたいと思います

くも膜下出血

前項で脳動脈瘤のお話をしました。稀に、経過観察中にくも膜下出血になる方がいます。写真は、70代の女性で、偶然左の中大脳動脈に小さな瘤がみつかりました。2mm前後でしたので、ときどき大きさをチェックしていました。経過中0.5mmほど大きくなったけれども、まだ3mm弱なので様子を見ましょうと言った1週間後に、「先生、破裂したみたい」と歩いてきました。MRIでは、左のシルビウス裂にくも膜下出血を認めました。幸い、神経学的にはグレード1の軽症であり、病院からお迎えいただき無事治療できました。

極めて稀ですが、未破裂脳動脈瘤を抱えている方は注意が必要です。

脳動脈瘤

脳動脈瘤は、脳の動脈にできた瘤状のふくらみで、破裂するとくも膜下出血になります。くも膜下出血はどのくらいの脅威なのでしょうか?顕微鏡手術や血管内治療が発展している昨今でも、予後は20年前とあまり変わっていないようです。概ね、1/3が死亡 1/3が後遺障害 1/3がもとの生活に復帰となります。

では、脳動脈瘤が見つかったら治療をすぐに行う必要があるのでしょうか?

脳動脈瘤の破裂率は年間1%未満と見積もられております。私の経験でも、未破裂脳動脈瘤でフォロー中の方が、くも膜下出血で倒れることは稀ですが、ゼロではありません。ガイドラインでは、5mm以上の大きさで75歳未満の方は治療を受けたほうがよいとされています。

ほか、参考すべき点として、瘤の場所です。特に、前交通動脈は破裂しやすい場所です。ここにできた場合は、3mm程度でも手術を勧める術者は多いです。また、血のつながっている方にくも膜下出血がいる方、複数の瘤を有する場合、喫煙している方、血圧の高い方は、注意が必要です。

瘤をとりまく問題として、MRIで瘤が見つかると、いつ破裂するかもしれない爆弾を抱えたような気持ちになり、日常生活に支障がでる場合があります。また、手術をしたほうがよいか経過観察でよいかのグレーゾーンに該当した場合は、選択決断はかなり迷うことになります。

瘤でお悩みの場合は、画像を持参して相談いただけますと幸いです。一意見として、参考になればと思います。