発作間欠期・在宅自己注射-エムガルティ
日本イーライリリー株式会社主催 Migraine Web Conference in Kanagawaがありました。「頭痛」のみならず「脳卒中」でも県内共働している えびな脳神経クリニック院長 岩田智則先生にご講演、座長は当院おとなりの東戸塚脳神経外科クリニック院長 中山敏先生でした。日暮はdiscussion担当させていただき、Discussuntとして、片倉町あかり脳神経内科・内科クリニック院長 金塚陽一先生と、川崎の宮前平脳神経外科クリニック院長 上野龍先生を招聘しました。
いつも岩田先生の講演は明解で、スライドがきれいで大変勉強になります。スライドを拝受いたしましたので、一緒に供覧したいと思います。 (上スライド)片頭痛発作のある日とない日の狭間が、「片頭痛発作間欠期」となります。発作がないからよいかというと、生活支障があることが明らかとなっております。(上スライド)患者さんにおいて、片頭痛発作時の多様な自律神経失調は よく知られております。しかし、頭痛がないときでも、間欠期支障があります。上スライド右上にまとめられた内容がそれにあたります。
(上スライド)特に、集中力低下・易疲労・抑うつなども、片頭痛コントロール不良に基づくものであることが示されています。
(上スライド)片頭痛の患者さんにはすでに有名になっている抗CGRP関連抗体薬(今回はエムガルティ:ガルカネズマブ)は、創薬基盤推進研究事業においても、貢献度・患者満足度ともに8-9割のすぐれた薬であることがわかります。エムガルティは、発作抑制のみならず発作間欠期においても力を発揮するものであり、すでに使用している当院の患者さんはじめ、恩恵を享受している患者さんは増えていると思います。
Discussionでは、「在宅自己注射を推進するために」および「片頭痛診療のチーム医療」について、金塚先生・上野先生よりご意見を賜りました。金塚先生からは、しゃべる絵本をもとにエムガルティの開始を安心して導入し、一般の薬と同様に自宅でも注射管理できるものであることを情報提供しているとのことです。上野先生からは、HIT6やダイアリーを供覧して状況を確認し、看護師と一緒に注射することで在宅自己注射を受容する説明を工夫しているとのことです。医師のみでは十分説明することは不可能であり、看護師・事務さんなどの力を借りながら、片頭痛診療を効率的に行うことが大切です。
注射という侵害刺激を自らの身におこなう経験をした人は少ないと思います。この壁は、絶対無理な方もいますし、やってみたら「こっちのほうが楽」という方もいます。在宅自己注射の話は、CGRP製剤が必要となった片頭痛患者さんのみの議論であり、大半の片頭痛の方は直面する状況ではないかと思いますのでご安心いただくとともに、希望時は最大限サポートいたします。
左より、上野先生 金塚先生 岩田先生 中山先生 ひぐらし