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頭蓋底二刀流 阿久津義博教授-第10回かなたま集談会

ブログ  / 地域連携・その他疾患

(本内容は頭蓋底・神経内視鏡領域の専門的内容となっております)

第10回かなたま(神奈川・多摩集談会)がありました。今回から、小生も世話人となっており、初めて参会しました。リーダーは、聖マリアンナ医科大学脳神経外科教授 村田英俊先生で、当院代診サポートもしていただいております。特別講演では、独協医科大学の脳神経外科教授 阿久津義博先生より、頭蓋底二刀流の真骨頂を拝見いたしました(阿久津先生とは、大学時代スキー部の大会でよく飲みました(^^)/)。スライド一部を拝借いただきました。頭蓋底病変は、従来は開頭あるいは頭蓋底drillingで展開していたアプローチですが、最近は、神経内視鏡±開頭で行われています。だれでもできる領域ではなく、no man's landといわれる手が出せない疾患群であり、胆力とセンスがないと再現性のある術者育成はとても困難な領域であると小生は自分の経験からそう思います。特にやってはいけない操作は、「ひっぱる」「内減圧が不十分」「見えないところをいじる」ですが、内視鏡でも同様のようです。

(下図)頭蓋咽頭種 下垂体後葉~茎部から発生 間脳に食い込んで進展しており良性であるが切除困難で臨床では悪性。視認性の高い内視鏡を拝見し、戦略的に機能を温存し、全摘出した症例

(下図)側頭葉の先端部は、眼窩の奥・海綿静脈洞の外側・動眼神経などを巻き込む場所です。以前は、頬骨弓を切除して下からとっていましたが、阿久津先生は、眼窩外側に小切開をおき、眼窩外壁をdrillingして、眼球や視神経を傷めずに全摘していました
(下図)巨大鞍結節部髄膜腫(側方進展):鼻の穴経由の内視鏡と開頭の二刀流で切除。腫瘍内には、嗅神経・視神経・下垂体・内頚動脈以遠の主幹動脈・外眼筋を動かす神経など多くの重要構造物がべったりとくっついており、最下段をみるとすっかり切除されております
(下図)斜台部脊索腫:脳と顔の間にある、斜台という滑り台様の頭蓋底があります。同腫瘍の好発部位です。かつての顕微鏡手術単独では、全部とるのは至難の業でしたが、神経内視鏡で広い術野をとって全摘しています。

(下図)C2(軸椎)脊索腫:入口は口からのみ。のどの最奥の壁を切開して到達し、全摘出。あたまが不安定にならないように、後頭部と頸椎を固定している (下図)脳幹自体の中にできた血管腫という良性腫瘤:脳幹の「橋」というところにあります。これは従来は手がなく、死を待つしかなかったのですが、阿久津教授により、鼻の穴からの内視鏡で全摘出されております。回復もよいです。 最後に、阿久津先生を囲んで