神奈川頭痛ネットワーク 第1回Seminar
第1回神奈川頭痛ネットワークSeminarが開催されました(大塚製薬主催)。片頭痛診療に携わられているメディカルスタッフを含む医療従事者間のFACE to FACEでの情報共有や連携を通して、得られたデータ収集から情報発信をおこなうことを目的とする。ほかにも、
・片頭痛診療のすそ野を拡大のため、疾患啓発を目的に他科の先生とともに集会を構成する(総合内科・産婦人科・耳鼻科・精神科・ペイン・眼科)
・勉強会参加者にアンケートを定期的に実施し、現状の課題を共有する。
を運営方針としています。
とても寒い日でしたが、多くの参加者がきてくださり、質疑もにぎわいました。
小生の印象に残ったポイントを以下に示します。
■榮角看護師のご講演内容
在宅自己注射導入率が高い富士通クリニックにて、そのメリットをご教示いただくとともに、患者さんが受容できるよう指導ポイントをご提示いただきました。
アンケートの結果をみると、最終的には在宅自己注射に満足している患者が90%との結果でした。自己注射を指導する資材で、QRコードで動画でみるものがあり、導入を検討しているが抵抗がある方の場合、一助となるでしょう。在宅自己注射導入時は不安ですが、一度成功体験をすると、受診頻度低下によるタイパ改善、自ら注射時期を決められる、付加給付で安くなる方がいるなどもあり、満足度が高くなるものと思われます。当院でも、オンラインで在宅自己注処方をしている方も増えており、負担軽減の後押しとなります。
デモ機(練習用オートインジェクター)を使いながら、医師→看護師が指導の実践をする。実際の成功体験から自信をつけていく
■五十嵐先生のご講演内容
・啓発の重要性:片頭痛医療の最大の問題点は、①まだまだ片頭痛患者さんが気づいて受診につながっていない(富士通社内の実態調査結果では片頭痛患者さんのうち72%が未治療)、②片頭痛患者さんに情報(片頭痛のリスクと有効な治療法)がとどいていない、③適切な治療を受けていない
・プレゼンティズムとアブセンティズムの理解:片頭痛の管理が悪いと、頭痛で仕事に行けない 頭痛日数が多くなるにつれ労働生産性は下がる(年収が下がる)
・FUJITSU頭痛プロジェクトを立ち上げ、富士通グループ従業員に頭痛教育(e-learning)を実施
80,000人超の従業員のうち、73,000が受講 頭痛の見方が変わると回答した従業員が76.9%
・啓発の手段:①メディア、アプリの利用:月経時に関連して起こる頭痛の78%が生理痛の一種だと思っている誤解 ルナルナアプリの活用 ②小、中、高校での啓発:神奈川頭痛ネットワークで何ができるか考えていきたい(学校医・小児科医・産業医)
・フレマネズマブ(アジョビ🄬)の3施設共同前向き検討(富士通クリニック・富永病院・仙台頭痛脳神経クリニック):使用患者の84%が満足と回答
・正しい診断と適切な治療で患者さんは救われる:非専門医への情報発信や、調剤薬局の薬剤師を含めた勉強会(薬業会)
・結語として、片頭痛患者さんのwell-beingに貢献するため、本会でどのようなことができるか、これから皆さまと考えていきたい。
最後に、神奈川頭痛ネットワーク構成員にて記念撮影
代表世話人
聖マリアンナ医科大学 脳神経内科学 教授 秋山久尚先生
富士通クリニック 五十嵐久佳先生
世話人
ウェルケアはら脳神経内科 院長 原一先生
帝京大学医学部附属溝口病院 脳神経内科 准教授 平井利明先生
ほどがや脳神経外科クリニック 理事長・院長日暮 雅一先生
麻生総合病院 脳神経外科 岩田牧子先生
川崎市立川崎病院 布施彰久先生
コスギコモンズクリニック 院長 高木誠先生