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認知症のお薬あれこれ

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先週末、認知症の勉強会が東京でありました。認知症根本治療薬開発のお話が興味深かったです。現在使われているお薬は、対症療法薬(アリセプトやメマリーなど)のみで、アルツハイマー病理を消滅させる根本治療薬は開発されておりません。団塊の世代が後期高齢者となる2025年までの間に「なんとか!」と日本の基礎研究者は頑張っているようです。しかし世界的には、大手製薬メーカーがその開発から手を引くなど、見通しは明るくありません。

そもそも、アミロイド蓄積→タウ蛋白凝集のメカニズムが明らかになっていません。また、PETでアミロイドが脳に溜まっていても、アルツハイマーを発症しているとは限りません。有効かつ安全な根本治療薬の開発は、これらのメカニズムの解明と併せて進展するのかもしれません。

現状は、患者さんの訴えや家族から聴取される変化をよく吟味し、神経学的所見や各種心理スケールを組み合わせるといった、丁寧な診察が正確な評価の近道といえます。てんかんや、うつ病、そのほかひそかに合併している病態や、悪さしているお薬を飲んでいないかを、常に疑いながら診療することが大切であると思います。そうすれば、現在使える各種治療薬でも、うまく調整してよい状況へ向かうことができます。また、薬はあくまでも治療の一部であり、環境調整・介護保険サービス・運動習慣・介護者教育などと併せて行わなければなりません。認知症=ADL(日常生活動作)障害ですので、ADLの維持自体が治療でもあり目標でもあります。