若年性アルツハイマー病
2018.05.21
アルツハイマー型認知症は、老年期に多くみられる病態ですが、65歳未満に発症する若年性アルツハイマー病JADがあります。JADは遺伝性が強く、老年期よりも進行が速いことが特徴です。JADの苦悩を描いた2014年の映画に、『アリスのままで』(Still Alice)があります。主演のジュリアン・ムーアは第87回アカデミー賞で主演女優賞を受賞しました。50才の仕事バリバリの時期に、単語がでなくなる→スケジュール管理ができなくなる→よく知る場所で迷うなどが徐々に現れてきます。時間と空間の軸が失われるため、それをベースに自我を保っている人間にとっては致命的です。やがて、着替えトイレ・入浴ができなくなる→会話ができなくなる→手足が動かなくなる、、と次々と進みます。
Alois Alzheimerが、急速に進行する嫉妬妄想と記憶障害の51歳女性を約100年前に初めて報告しました。今までのところ明らかとなっている家族性のアルツハイマーの原因遺伝子として、APP、PSEN1、PSEN2があります。これらは常染色体優性遺伝(子は50%の確率で引き継ぐ)であることも脅威であり、家系内で多発します。いずれもアミロイドという蛋白質が過剰につくられるような仕組みになってしまいます。当院でもJADの診断例があります。新オレンジプランを鑑み、大学などの認知症疾患医療センターと連携しながらフォローしています。
家族歴が明らかでない場合、一般的に40-65歳のもの忘れや段取りミスなどは、脳卒中・てんかん・うつ病・単なる疲れ・気にしすぎ(心気的)・薬の副作用、が多いです。しかし、JADの可能性は常に念頭に置く必要があります。