正常~MCI~軽度認知症?
2019.04.10
おかげさまで4月より法人となりました。より質の高い診療を目指して参ります。
さて、当院の物忘れ外来には、「認知症になったかもしれない」という方が多く来院されます。認知症のタイプとして最も多いアルツハイマー型認知症を例に、どのような段階があるか説明します。
①発症前段階 preclinical stage:この段階では、アミロイド蓄積はあっても、症状がありません。PET検査で、アミロイドが溜まっているか調べることができますが、自費のうえ高額です。最近、アミロイド代謝に関わる血液成分から脳のアミロイド蓄積のリスクを評価する方法が話題になっています。MCIスクリーニングという自費採血です。50歳以上で対応可能です。
②軽度認知障害MCI:「同じ質問を繰り返す」「金銭へのこだわりが強くなった」「探し物が増える」「スケジュールを頻回に確認する」などがみられるようになる一方で、買い物や家事などは一通りできる段階です。70歳前後で多くみられ、この時点では、投薬は不要ですが、悪くならないように生活の見直しや環境調整が必要です。
③軽度アルツハイマー型認知症:「冷蔵庫に賞味期限切れがふえた」「お薬飲み忘れがある」「大事なものがなくなり身近な人がもっていったと疑われる」「病識がない」などがみられ、生活にサポートが必要になります。このようなエピソードには個人差がありますので、MRIや神経心理スケールなども参照したうえで治療を開始する必要があります。
現在のところ、根本治療薬はありませんが、早期介入して対策を講じることにより、予後は大きく改善します。