見逃してはならない怖い頭痛:動静脈瘻
普通の頭痛(一次性頭痛)と見分けがつかないような軽い頭痛のなかには、見逃がすと本格的な脳卒中を発症する怖い疾患があります。
写真の3例は、当院で見つかった動静脈瘻です。動静脈瘻とは、動脈が毛細血管を経由する前で静脈に流れ込んでしまう病気です。これが形成されると、動脈の強い血流が、より低圧の静脈に流れ込むため、静脈が破綻して出血したり脳浮腫を起こしたりします。写真の3例は、それぞれ動脈から流入する静脈が異なり、症状も異なります。
写真左:内頚動脈→海綿静脈洞の短絡です。これは目の奥が痛くなり充血するので、群発頭痛や眼科疾患と間違えられる可能性があります。
写真中央:硬膜動脈→S状静脈洞の短絡です。これは、耳の後ろが痛くなるので、首・肩こりや、緊張型頭痛と間違えられる可能性があります。拍動性の耳鳴りを伴う場合は疑う必要があります。
写真右:硬膜動脈→上矢状静脈洞の短絡です。これは、後頭部正中を中心とした頭部全体的な痛みで、緊張型頭痛などと間違えられる可能性があります。せき込んだりすると痛みが状況します。
いずれも、静脈梗塞や出血を起こす可能性があり、治療が必要です。治療はカテーテルでsuper selectiveに短絡血管を詰めて治します。比較的稀な疾患でもあり、この疾患をたくさん治療している血管内治療医に治してもらう必要があります。
当院ブログで紹介しているような怖い頭痛の共通点は、ある日突然頭痛が発生して、改善しないことです。重度であれば何かおこったと考えますが、軽度でも注意が必要です。頭痛もちだとなおさら油断して見逃される可能性があります。いつもと異なる頭痛がある場合は、MRIで除外する必要があります。