脳動脈狭窄について
2019.05.21
パシフィコ横浜で、日本脳神経外科コングレス総会が開催されました。
脳卒中の予防として、頭蓋内動脈狭窄ICASへの対処はとても重要です。ICASの原因としては、モヤモヤ病と動脈硬化性狭窄に大きく分けられ、対処法も異なります。MRIなどによる狭窄部のプラークイメージおよび遺伝子検査による病型分類が重要とありました。
1、まず偶然に血管狭窄が見つかった場合は、モヤモヤ病の特徴があるかどうか、動脈硬化性狭窄の部位がどこかにより対応が変わります。虚血症状が疑われる場合や、分水嶺梗塞がある場合は、脳血流評価が必要です。従来はSPECTで評価をしておりましたが、最近はMRIによる脳血流画像で判断される頻度が増えています。異常がなければ経過観察、異常があればお薬での治療が必要です。
2、お薬を飲んでいても麻痺などの症状を繰り返す場合TIAや脳梗塞になった場合は、バイパス手術が必要となります。しかし、近年、冠動脈や頸動脈のステント治療がICASに対しても行われるようになってきています。今のところ高いエビデンスはなく、病変の部位などでの制限がありますが、今後主流になると考えます。切らずに済むので受ける側としては安心ですね。
3、モヤモヤ病であった場合、脳室周囲の血管異常choroidal anastomosisがあると脳室内出血のリスクが高くなるため、バイパス手術が必要となります(特に成人例)。一方、小児発症の場合は、直接+間接バイパスをしっかり広範囲におくことで将来のぶり返しが低下するようです。こちらの治療は高度な専門知識・技術・経験が必要となります。