当院の頭痛外来と代診
火曜日午後と水曜日の診療は、大学の先生方に代診をお願いしています。てんかんに詳しい先生や、脊椎病変に詳しい先生などが来てくれるので、当院でセカンドオピニオンを伺うことができます。慢性頭痛と認知症の相談は、そのほかの診療時間で、日暮雅一が担当しています。さて、当院の頭痛外来で多く経験される疾患に関して、いくつかご紹介します。
1、片頭痛 ない日とある日が明確な頭痛。発作中に活動すると、頭痛・吐き気・めまい・まぶしい・音過敏などが増悪して、寝込んでしまう。長く患っていればMRIなしでも診断を迷わないが、始まったばかりの場合はほかに原因がないか確認が必要。5歳くらいから起こりうる。頭以外にも首の後ろや鼻根部などに偏って発生することがある。10人に1-2人の有病率であり、薬や対処法は確立されている。頓服を頻用した場合、薬物乱用頭痛を併発しやすい。
2、群発頭痛と新規発症持続性連日性頭痛NDPH ある日突然連日の頭痛もちになったと訴える。前者は、片方の目の奥や側頭部に限局し、発作時間が1-3時間と限定されているので診断は容易。一般的に流涙・鼻閉などを伴うとされているが、自覚されていない場合もあるので、発作時に目を確認してもらうことが必要。稀に、発作性片側頭痛という似たようなモードもある。後者NDPHは、不明な点も依然おおいが、ある日突然連日の頭痛もちになり改善しなくなる。あらゆる予防薬や頓服が効かないことが多い。しかし、一定期間フォローしていると突然改善することがある。
3、ある行為により誘発される雷鳴頭痛 こちらもある日突然頭痛もちになったと来院される。シャワー、入浴、トイレ、運動時・・などの特定の行為により、拍動性の頭痛が引き起こされる。数時間で緩解するが、同じ行為で再発する。概ね1-3か月程度で自然に緩解する。緩和する薬もある。MRIで、移動する血管攣縮を認めるケースがある。初発時は、くも膜下出血の除外のためMRIをとったほうがよい。
4、椎骨動脈解離 こちらもある日突然頭痛もちになったと来院される。片側の首の後ろから後頭部の持続痛。当院では、週2件程度のペースで診断される比較的頻度が高い脳卒中。くも膜下出血や脳梗塞に至る可能性もあり、リスクが高いと判断した場合は、入院が必要。いわゆる「軽いけど重い頭痛」の一例。
5、蓄膿症による頭痛 こちらも急に頭痛もちになったと来院される。4つある副鼻腔すべてでおこりうる。貯留部に一致して痛みがあるので、おでこがいたい、ほっぺが痛い、押すと痛い、がある場合、鑑別に挙がる。MRIで診断は容易。耳鼻科の先生からも依頼されるが、蝶形骨洞周辺の局所的な液体貯留はレントゲンではとらえにくく、頭部全体や後頭部の痛みとして訴える場合があるので注意が必要。痛み止めだけ飲んでいても改善しない。蓄膿症が実はあって、片頭痛の頻度が増えている場合がある。
6、子供の頭痛 片頭痛・蓄膿症・脳腫瘍などによる頭痛の場合、治療方針がはっきりしており対応しやすい。治療難度が高いもので、起立性調節障害OD(起立性頻脈症候群POTSなど)や適応障害がある。起床時の頭痛とめまい、学校にいけない、寝つきが悪い、夜更かしがある、などの場合に鑑別にあがる。生活指導と投薬、小児科の先生や精神科の先生と連携してフォローする必要がある。
頭痛は国際分類では300種類と多く、当然ほかの頭痛もたくさんあります。不明点や心配なことがあれば、いつでもご相談ください。