頭痛の知識を深める会

ツムラ主催の「頭痛の知識を深める会」がありました。いつも診療や経営でお世話になっている、横浜市立大学脳神経外科 主任教授 山本哲哉教授と、子安脳神経外科クリニック院長 子安英樹先生に運営していただき、日本の漢方治療x頭痛外来x脳神経外科の大家である、らいむらクリニック院長 來村昌紀先生を特別演者としてお迎えし、頭痛に対する漢方治療の講演をいただきました。小生は、地域の一頭痛外来として、当院での頭痛外来のコンセプトや重視している5ステップについてお話させていただきました。

來村先生からは、頭痛診療でガイドラインで推奨されている五大漢方(五苓散 呉茱萸湯 釣藤散 桂枝人参湯 葛根湯)に加え、川芎茶調散 当帰芍薬散 桂枝茯苓丸 六君子湯につき、選択のコツなどについてご指導いただきました。患者の年齢・性別、症候にくわえ、「証」「血気水」を考慮して選択していく必要があります。らいむらクリニックHPから、來村先生お話をYOUTUBEで拝見できるので、勉強できます。薬物乱用頭痛の解除に漢方も一法であることや、妊娠希望女性に安全に使える予防薬として漢方は選択肢になることも有益な情報でした。

私の方から、当院の頭痛外来で重視している5STEPも提示させていただきました。当院フォロー中の患者さんや関心がある患者さんの参考になればと思い、この場を借りてスライド1枚だけ提示いたします。

エムガルティ~片頭痛治療のパラダイムシフト

新規発売された片頭痛予防注射薬エムガルティの勉強会がありました。平素よりお世話になっている横浜市立市民病院神経内科部長 山口滋紀先生座長のもと、日本の頭痛診療を牽引する第一人者 静岡赤十字病院脳神経内科部長 今井昇先生より、「片頭痛発作抑制のパラダイムシフト~片頭痛と頭痛医療連携」と題してご講演をいただきました。若輩ながらオープニングリマークスを担当させていただきました。
エムガルティへの期待について:::片頭痛発生メカニズムに焦点を当てた予防薬は世界で初です。やや値が張りますが、頻度の多い反復性片頭痛や慢性片頭痛の患者さんで、従来の各種予防薬による抑制に限界がある方に適応があります。当院でも投稿現時点で12人の方に投与しており、5人のフィードバックを得ていますが、月15日以上頭痛に悩まされている患者さんでトリプタンの使用が月0になった方もおり、とても優れた治療薬である実感があります。ご自身に適応があるか、どのような期間で使うのかなど、ご興味がある場合は、是非ご相談ください。

頭痛診療の医療連携について:::片頭痛患者は、全国で1000万人といわれており、頭痛専門医による頭痛外来のみでは当然対応しきれません。今井先生は、静岡全域において頭痛医療連携の構築に取り組んでおられ、患者と医療者双方にwinwinのシステムの構築に尽力されており、ご努力に感銘を受けました。頭痛専門医の役割としては、以下の診断が最低限必要です・・片頭痛であること 頻度重症度の程度の判定 予防薬と屯用薬の必要十分な判定 睡眠やストレス管理などの生活指導・・エムガルティなどの適応の判断。これらの判定には、見えない頭痛の見える化ツールである頭痛ダイアリーが必要です。患者さんがある程度頭痛対処の技を習得した後は、頭痛を真摯にみる「かかりつけ医」を紹介し、継続的にサポートしていただき、再び対応困難な局面に直面した際に、頭痛専門医で補正していく連携が必要となります。

これからの頭痛診療の在り方を深く考えさせられる会でした。

近況報告ー代診 エムガルティ GE製最新機種頸部エコー導入ー

4月から新年度を迎え、当院の代診の先生方も一部変わりました。横浜市立大学脳神経外科 山本哲哉教授外来は需要も多く、6月より月2回金曜日の午後診療を快諾いただきました。とても熱心に診療にあたっていただいており、私自身の診療も身が引き締まる思いです。

木曜日の午後は、三宅茂太先生が医学博士をとって横浜市立脳卒中神経脊椎センターに異動になりましたため、市大本院脳神経外科 次世代臨床研究センターより、高瀬創先生が月2回代診をしていただけることになりました。高瀬先生は、脊椎脊髄外科専門医 スポーツドクターでもあり、しびれ外来や運動時外傷を中心に当院の診療を強化してくれています。

火曜日の午後は、川崎貴史先生が市大救命から藤沢湘南台病院に異動となり、大学本院脳神経外科大学院の大島聡人先生が月2回代診をしていただけることになりました。大島先生は脳腫瘍の専門性が高く、また英語が堪能ですので、英語による複雑なインフォームドコンセントなどをお願いいたします。

水曜日は、引き続き、市大本院の佐藤先生のしびれ外来、市大センター病院の東島先生のてんかん・ふるえ外来をお願いしています。

どの先生も、丁寧に診療してくれる方ばかりなので、いつでもお気軽にご相談ください。ありがたいことに日暮の外来も含め、とても多くの方々にご利用いただいておりまして、しばしば混雑し、ご迷惑をおかけいたしております。なんとか高い集中力をもって肝を見抜いていきたいと思います。予約制に関しては、医師の指示による検査予約や脳ドックをのぞいて、導入しておりません。予約制は、高齢者やネットが苦手な患者さんの不利益にもなる可能性があり、いまのところ公平性重視で対応していることにご理解いただけますと幸いです。

エムガルティについて: 新規に発売された片頭痛発作予防薬です。月1回クリニックで注射することにより(初回2本)、月の頭痛がおおよそ半減するイメージです。いまのところ当院の頭痛外来では、頭痛ダイアリーで発作状況を確認して、従来の内服予防薬でおおよそ8-9割の方で発作がほぼ消失~半減、あるいは1回の発作重症度の低減がえられています。そのなかでも改善が弱い場合、毎日内服することに抵抗がある などの場合、エムガルティは選択肢になりえると考えます。但し薬価が高く、保険適応ですが、1本45000円の保険自己負担分は13500円です。額に見合った効果が得られるかどうか、慎重にフォローしていく必要があります。関心がある場合は、日暮の外来で相談してください。

GE社製超音波装置: 脳卒中の診療にはとても大事な頸部エコー検査。GE製の最新機種を導入しました。当院は、脳卒中治療に特化した多くの病院と連携しております。頸部エコーは、動脈硬化や脳ドック的な検査のほか、頸動脈狭窄の手術適応の判断 ステント留置後のフォローアップには欠かせません。

コロナワクチン接種可能かの問い合わせ: 外来や電話で、非常にたくさんの問い合わせをいただいております。今のところエビデンスはないので、現在当院で処方している薬は継続して接種してください。接種当日は、医師会の持ち回りで主に開業医が接種前問診をしますので(私も当番があります)、その際に直近の状況をうかがってみてください。

 

頭痛学 総復習

先日、第76回横浜内科学会神経研究会が開催されました。緊急事態宣言下で、WEB配信Teamsで行いました。今回は私が当番幹事をさせていただきましたので、頭痛診療の師匠である、間中信也先生に私の勉強も含めて講演をお願いしました。

日々頭痛外来をしておりますと、「頭痛」という症状で受診はしますが、幅広い原因があり、適切な診断をしなければ、治療もうまくいきません。今回、間中先生には、上記タイトルで、頭痛診療に従事している横浜・神奈川の先生方向けに講演いただきました。以下、いくつか紹介します。

●頭痛診療で見逃してはならないred flagとして、くも膜下出血に注意(Walk-in SAH 歩いてくるくも膜下出血)。他にも、怖い二次性頭痛があります。共通の特徴として、突然、初めて、改善しない、などがあり、注意が必要です。

●一次性頭痛は片頭痛・緊張型頭痛・三叉神経自律神経性頭痛(TACS 群発頭痛など)の3つが有名ですが、国際分類には、第4群としてのその他の一次性頭痛が10項目あります(下スライド 間中信也先生提供)。それぞれに、治療法や対策が変わります。

●片頭痛もちの方の脳の特徴として、「過敏性」Migrainous brain(片頭痛脳)があり、以下の特徴があります(下スライド 間中信也先生提供)。片頭痛の発生メカニズムにおけるCGRPという物質。近いうちに抗CGRPモノクローナル抗体治療薬が登場する予定です。現在の予防薬に強い味方が加わります。

●三叉神経痛 帯状疱疹後神経痛 などの神経痛には、神経障害性疼痛治療薬(タリージェなど)が有効な場合があります。

●可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)の特徴にも言及されました。突然の頭痛もちとなり、入浴・労作・感情変化によりスイッチの入る雷鳴頭痛を繰り返します。最初の1か月は頭痛期 次の1か月は血管攣縮期(出血や梗塞になることがある)おおむね2-3か月で自然に改善しますが、脳動脈瘤破裂などによる卒中red flagsは常に念頭に置く必要があります。

●新型コロナウイルス(SARS CoV 2)に関わる頭痛に関し、以下のスライドを提示されました。

●薬物乱用頭痛(MOH)への配慮と、その治療法。頭痛タイプ分類の正確な診断および治療効果判定のために頭痛ダイアリーは必須です。また、頭痛ダイアリーは、患者さん自身が自分の症状特徴に気付いたり、認知行動療法的効果の期待もあります。

 

 

2021ごあいさつ

あけましておめでとうございます。昨年は当院をご利用いただきありがとうございました。新年は、コロナ情勢が不透明なスタートとなりました。患者さんにできることを丁寧に拾って、少しでもプラス転換できるきっかけを作っていければと思います。引き続き「与楽抜苦」に徹してまいります。

コロナ対策として、当院で継続診療している患者さんは、再診でお変わりなしの場合は受付で諸事確認後に処方箋をお渡しします。また、初診や変化があってMRI検査が必要と判断される場合、検査までの待機時間は、おおよその戻り時間をお伝えして外出も可能としています。検査のない再診の場合でも、受付エントリー後に同様の対応をしています。診療所内の密を避けることを目的としておりますが、待合室内や共用部廊下での待機も問題ありません。なるべく会話は避け、少人数でお願いします。

昨年末に頭痛学会主催のオンライン勉強会がありました。頭痛に関連する最近の情報がアップデートできましたのでいくつか紹介します。

新型コロナCOVID19による頭痛:COVID19は、発熱と咳に加え嗅覚味覚障害が特徴ですが、急激に発症して持続性になるいつもより重めの頭痛も併発する可能性が報告されています。髄膜炎や脳炎に至った症例も報告されています。従来の全身性感染症による頭痛(ICHD3 9.1)と異なる特徴があるかは、まだ不明確と思います。ちなみにイブプロフェンによるCOVID19症状増悪の科学的根拠は今のところありません。

マスク頭痛:マスク着用により呼気中の二酸化炭素を吸い込むため、血液中の二酸化炭素が増えます。高炭酸ガス血症による頭痛(ICHD 10.1)は頭全体の鈍い頭痛です。加えて当院外来での印象ですが、マスクの耳に掛ける紐や頭部顔面の圧迫で頭痛が増えている方がいます(頭蓋外からの圧迫による頭痛ICHD3 4.6.1)。マスク着用に工夫が必要です。

片頭痛の新しい治療の可能性:近いうちに抗CGRPモノクローナル抗体の自己注射による新たな片頭痛治療が期待されています。

 

近況報告 -新都市と連携会ー

11月で開院4年が経過しました。14000人の方々にご利用いただいております。頭痛外来では、脳卒中や脳腫瘍などの怖い二次性頭痛の診断を迅速に行うとともに、片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛などで治療に難渋しているケースも試行錯誤しながらも粘り強くフォローしています。もの忘れ外来では、横浜市の健診や、二次健診の依頼から、認知症になったかもしれない~軽度認知障害~各種認知症の診断と治療をしています。せん妄や陽性症状のために家族が疲弊しているケースにおいては、投薬治療・家族指導~介護保険サービスの調整・精神科入院などの相談をしています。また、大学の先生方に助けをかりながら、てんかん・しびれ・パーキンソンや本態性振戦などのふるえに関しても専門外来を設けています。

私個人の人生修行において、「良いことを」「心をこめて」「繰り返す」を信条としており、開院からいままでもこれからも、ただひたすらに目の前のひとりひとりに集中して診療してまいります。

新都市脳神経外科病院の森本将史院長と、定期の情報交換会がありました。横浜市北部(ブルーラインや田園都市線)周辺にお住まいの患者さんも、当院をご利用いただいております。一定の確率で、未破裂脳動脈瘤 脳動脈狭窄 モヤモヤ病や慢性虚血病変などの治療が必要な方がおり、横浜北の要として対応を依頼しています。森本先生グループは、多くの脳外科医を擁しており、開頭術~血管内治療の二刀流の広い治療幅をもち、対応も迅速です。脳卒中の各種治療件数も、県内随一を続けています。今後とも、当院の診療を助けていただきたいと思います。

 

近況報告ー産業医ー脳卒中と胃潰瘍の関係ー

晩夏はコロナが何となく落ち着きつつある状況ですが、残暑が続き熱中症には配慮が必要な日々が続いております。熱中症は細胞内脱水をひきおこし、慢性的にじりじりと自律神経の失調を誘発します。失神・せん妄はわかりやすい氷山の一角ですが、片頭痛・閃輝暗点・てんかんや痙攣性疾患の増悪・めまいなどの自律神経失調症の不定主訴は多岐にわたります。水・熱の管理の重要性を外来ではアドバイスしています。

医療関係者の集会は困難な日々が続いています。オンラインが主流となりつつあります。今回、横浜市立市民病院 脳血管内治療科 増尾修先生のオンライン講演の座長をさせていただきました。

新病院としてスタートした横浜市民病院は、当院からも近く、いつも迅速に急患を受け入れていただき助かっております。増尾先生グループは、治療適応も妥当で、治療技術も高く、最先端の血管内治療も早く反映できる立ち位置にある印象です。今回は、脳卒中のもらい事故でよくある胃潰瘍(クッシング潰瘍やアスピリン潰瘍)の予防につきご講演いただきました。

その前、本日午後は、市大センター病院高度救命センターの川崎先生が当院代診をしていただいておりましたので、なかなか聞けない産業医の研修にも行ってまいりました。長時間労働や高ストレスは、産業医の中ではここ数年のトピックスです。加えて直近の話題としては、コロナによる在宅勤務者の病気・雇用関連に関するトラブルに関しても産業医は関わらなければならないことを認識させていただきました。コロナ労災の話では、今のところ全国で約1000人の申し出があり、多くは医療関係者のようでした。在宅勤務による運動不足や社交不足・家族内距離感の緊密化などによるメンタルヘルスのトラブルが増えており、産業医としても、当院診療においても、それらに配慮してアドバイスしていく必要があると考えました。

夏季休暇おしらせ

8月16日まで夏季休業です。8月17日から、診療再開します。コロナ感染者の診断数が増え、自由に休むといった感じではないですが、気は長く・心は丸く・腹立てず、一時一時を味わって過ごしたいものです。マスク着用のなか熱中症や脱水には注意してください。飛沫感染予防=マスク・小声・距離、接触感染予防=手指ほかアルコール消毒。

コロナに関しては、3月からの波に比べ、重症化率が低いのが幸いです。数が増えているのは、濃厚接触者のPCRが増えて、無症候キャリア(感染が成立していない?)が頭数に入っていることもあります。今春、世界で猛威をふるったウイルスだけに、まだまだ気は緩められません。一方で、コロナウイルスはウイルス学の教科書にもある常連古株であり、ころころ変異を繰り返すことも考えられます。今のPCRに偽陽性が含まれていないか、春のサブタイプのみを拾えているのか、気道粘膜以外の部分(皮膚や周囲のもの)に付着している状態でも陽性になるのではないか、、などの疑問は感じます。再度重症化率が増えて医療崩壊するのも怖いですし、すでに弱毒化(いわゆる風邪化)しているのに社会活動規制を高いレベルで維持して経済が壊滅するのも怖いです。科学の基本は、他因子をそろえて数値比較しますが、PCR検査対象を増やして分母が増えている状況において分子のみ目立って報道されているので、自然科学に携わらない多くの人には恐怖を与えてしまうのではないでしょうか。専門職には、リアルタイムの正確な性質分析を随時頑張っていただきたいと願います。

医療の一端を担うものとして、注意深く状況を観察し、安全に医院を運営し、患者さんをサポートしていきたいと思います。脳に関するご相談は、お気軽にご相談ください。

近況報告ー横浜市大病院 横浜市民病院ー

とりあえずコロナがおちつきつつありますが、日々暑くなって参りました。距離+マスクを適宜つけての熱中症対策が必要です。日々診療連携しているなかで、face to faceの顔の見える連携は大切です。エチケットを守りつつ横浜市関連の施設と情報交換会がありました。同じ空間でじっくりお話することはやはり話題を掘り下げる力があると感じます。

当院の診療にもご支援いただいている、横浜市立大学脳神経外科 山本哲哉教授と情報交換をしました。当院との連携や、脳神経外科教室のことなどお話しました。私見ですが脳疾患に対する診断・治療方法は、科学の進歩にあわせて、おおよそ10年単位で大きく変化する印象です。横浜エリアは、都市ユニットとしてのコホート人口も多く、市大脳外科医局への入局者数は全国でもトップクラスの人気がありますので、次の10年へ向かって様々な発信を生み出す可能性を有しています。たとえば亜専門領域subspecialtyでは、脳血管内治療における巨大脳動脈瘤や動脈解離へのデバイスの進歩 難治性てんかんやパーキンソン病などへの外科治療 特殊性の高い腫瘍(頭蓋底・膠芽腫・小児)に対する集学的治療 などです。臨床研究や治験などで常に鍛えていく必要があります。医療の進歩の方向は、より低侵襲で効果的かつ治療結果の外科医差の少なくなる技法の開発へ向かっていますが、未だ高い技量と長い時間を要する顕微鏡手術およびそれを遂行するサムライスピリットは必須です。

ダイヤモンドプリンセスへの対応などで奮闘した横浜市立市民病院。ちょうど同じタイミングで、最先端設備を備えた新病院として新たにスタートしています。同院 脳血管内治療科を統率する増尾先生が機会を作っていただき、近隣の脳神経外科クリニックの先生方と、脳卒中診療の設備などを内覧させていただきました。子安先生(子安脳神経外科クリニック)太田先生(新緑脳神経外科)宮崎先生(よこはま高島町クリニック)私で、連携について相談しました。脳卒中の治療は、開頭から血管内治療に大幅に移行しつつあります。血管内治療を行うカテーテル室の設備がすばらしかったのと、オペ室の中廊下がとても長く、ICU CCU HCUの規模の大きさにも驚きました。

コロナ第一波終息時における脳疾患管理への考察

平生でも脳に関する疾患・悩みは多いですが、コロナ禍となり、更なる負荷が加わっております。これも世の常、生きている限り課題はつきません。
我々としては、今ある情報の中で、妥当な生活スタイルを冷静に模索することが賢明です。個人レベルで行う防疫は周知されております。今回は、当院で扱う疾患患者さんへの注意喚起・アドバイスをいくつかあげたいと思います。
・不顕性感染への配慮:熱発や感染症状増悪しているケースは感染力が高くなりますので、該当する場合は当院での診療は控えていただいております。一方、感染者の多くは軽症(一般的なかぜ様)~無症候キャリアです。 この場合の感染力は不明ですが、スタッフと患者さんのマスク着用と、施設内接触部位の消毒を行っております。次の感染バリケードとしては各個人での一般的に周知されている感染対策となります。最終的には、かかっても負けない免疫力の維持(日々の体調管理)が必要です。
・フレイルに注意:特に脳卒中や認知症(MCIレベルを含む)患者さんは、コロナ施策によるフレイル・廃用性萎縮・認知症の増悪に配慮する必要があります。外出自粛やデイサービスの休止→足腰の筋力の廃用性萎縮→脳血流低下→社会活動範囲の縮小→廃用性萎縮・・・と負のスパイラルに陥ることで急激に増悪します。さらに、マスク着用での生活や、夏の到来で、熱中症リスクも加わります。対策としては、自宅内での筋トレ・ストレッチ・体操のルーチン化や、涼しい時間帯に人の少ない散歩コースを模索するとよいのではないでしょうか。
・頭痛に対する影響:運動不足や先行き不安、在宅勤務による作業環境の変化により、慢性頭痛が増悪するケースが増えています。個々の生活仕様を伺って、現状でベストな環境調整を一緒に考えましょう。一方で、対人ストレスや出勤ストレスのあった方は、自宅待機で頭痛が軽快しているケースもあります。社会の在り方が大幅に見直されており、余分であった社会的ストレス緩和には期待の持てる部分もあると思います。
・診断の遅れに注意:4月からの2か月の自験例で、くも膜下出血を発症して1週間前後経過しているケースが3例もありました。社会に配慮して外出自粛を過度に守るがゆえ、自身の違和感を我慢しすぎて診断が遅れてしまう可能性があります。脳神経疾患の中には、軽微な症状であっても重大な前兆である病気があります。普段とは異なる違和感がある場合、感染対策には配慮お願いしたうえで、積極的にご相談ください。
・日々の健康習慣幅の縮小:外出自粛やマスク着用、トレーニング施設の休止など、健康増進のために日々行っているルーチンに制限をきたしています。コロナとのうまい付き合い方が不明確な今は、辛抱して妥協策を個別に検討する必要があります。特に高齢者は、上記フレイルへの配慮から、注意が必要です。
今の状況は、諸行無常などといわれているがごとく、常に移ろいます。今までは防戦一方な印象ですが、一次予防の確立・発症時の重症度分類による個別対策・一部の播種性血管内凝固DICのような重症例に対するICUプロトコルの確立・ワクチンによる集団免疫・・とテコ入れは迅速です。全人類共通の課題でもあり、研究機関・製薬業界・医療機関のヒートアップは過去類をみないものです。
当院の診察でテンポラリーに気を付けていることは、診療所内に極力3密をつくらないことです。診療の質を維持して簡にして要な診療に集中して参ります。また、ファックス処方・電話再診のほか、現金接触低減を鑑みてクレジットカードを導入しております。