片頭痛のない時の症状も片頭痛の一部かもしれません-エムガルティ

日本イーライリリー株式会社主催 えびな脳神経クリニック・横浜新都市脳神経外科グループ のクローズド座談会で情報交換しました。尾崎聡先生座長のもと、岩田智則先生よりご講演、ディスカッション司会は、森本将史先生。岩田先生によりいただいたスライドを参考に、「片頭痛の発作間欠期」について情報共有したいと思います。

片頭痛は本人のみぞ知る見えない疾患です Invisible。(上スライド)波が崩れる部分はvisibleな疾患:脳卒中・認知症などな一方、うねりの部分はinvisibleな疾患:片頭痛。(Cephalalgiaという国際的頭痛雑誌より)

(上スライド)氷山の一角は、いままで注目され定量化して「見える化」していた部分です。かくれた氷山を発作間欠期として、最近注目されている片頭痛に付随する支障です。エムガルティはじめCGRP関連薬では、間欠期症状も改善することで総合的に片頭痛による生活支障が改善します。

(上図)当院で最近CGRP関連薬を受けられている方にはおなじみになりつつあるかと思いますが、氷山の上・下をそれぞれ定量化していくスケールです。右の部分は「発作間欠期」の状況確認になります。

多くの県内の頭痛診療医が参加しました。えびな脳神経クリニック・横浜新都市脳神経外科病院・青葉台脳神経クリニック・鎌倉脳神経MRIクリニック・かまくら脳神経外科・いとう横浜クリニック・横浜青葉脳神経外科クリニック・宮前平脳神経外科クリニック・かわまた内科/脳神経内科・子安脳神経外科クリニック・大倉山脳神経外科クリニック(順不同)

えびな脳神経クリニック理事長(尾崎聡先生)・院長(岩田智則先生)、かまくら脳神経外科院長(加藤依子先生)と(^^)/

以下スライド:エムガルティによるMIBS低減効果について難しいかもしれませんがご参考まで

レイボーのトリセツ ver2.0

日本イーライリリー株式会社主催 レイボー New Year Seminar 2024がありました。レイボーという新たな選択肢に対し、新年早々素晴らしい面々でWeb講演会ができました。日本の頭痛の黎明期を作りいまでも熱く活動されている、間中病院 名誉院長 間中信也先生座長、名演者 えびな脳神経クリニック 院長 岩田智則先生による御講演。現地ゲストで、神奈川の認知症領域の牽引者である メモリークリニック湘南 院長 内門大丈先生、オンラインDiscussuntとして 福島孝徳記念クリニック院長 佐々木裕亮先生 宮前平脳神経外科クリニック院長 上野龍先生。間中先生お膝元 大磯プリンスホテル会場にて、ゲームチェンジャーの機会となりうるひと時に同居させていただけたことに感謝いたします。

痛み止め(急性期治療薬)としては、市販薬やトリプタン製剤がメインでしたが、1年ほどまえからレイボーというパワフルな片頭痛の「芯とり薬」が登場しました。もちろん片頭痛の推進ガイドラインでも1軍です。患者さんにおいては、すでに活用されている方も多いかと思います。

レイボーは、それだけ片頭痛の芯をとる、しかも片頭痛タイミング後手になってもちゃんと働くパワフルな薬です。状況により使い分けている患者さんも多くいます。脳移行が強いこともあり、ねむけ・ふらつき・酔い感が前景に出るケースもありますので、その提供の仕方を議論しました。

岩田先生の講演から学んだことは、SDMという姿勢です。(以下スライド)エビデンスを説明し、主効果の期待と副作用への対応の仕方を丁寧に説明し、回を繰り返しながら合意形成していくことが大切です。

 

レイボー処方の仕方は大きく3つあり、①まず使う②トリプタンと使い分け(めまい持ちの方)③さらに消炎鎮痛薬を加える。近年の片頭痛リテラシー上昇もあり、ご存じの方も多いですが、(上記スライド)生理時の片頭痛は頑固であり、間中先生より下記提案をいただきました(下スライド)。

私のディスカッションは延長して申し訳ありませんでした。福島孝徳記念クリニック院長 佐々木裕亮先生は、神奈川県でもっともレイボー処方をされている先生で、レイボー1stのコツをご教授いただきました。宮前平脳神経外科クリニック院長 上野龍先生からは、従来のトリプタン・NSAIDSに加えレイボーの3択で処方しているとのことでした。ラストクエスチョンは、内門先生に「専門外の領域の議論ですが、俯瞰して何かコメントいただけますか」と問うたところ、「レイボーはSDMが重要だね」と解をいただきました。精神科診療は、まさに片頭痛のような目に見えない苦悩を相手にする領域でもあり、(もっと複雑か)含蓄がある言葉で感動しました。なかなかに良い会だったと感じます(^^)/

頭痛診療 次のパラダイムシフトへ向けてーエムガルティ

第一三共主催 片頭痛診療の未来を考える会がありました。今回は、昭和平成から令和・未来への頭痛診療の談義ができたことはinnovativeでした。小生は総合座長のお役をいただき、演者は、信州(糸魚川ー諏訪赤十字病院)の勝木将人先生と、桜木町駅前 のげ内科・脳神経内科院長 渡邊耕介先生でした。重要な内容が多かったのでスライド多めです(^^)/

勝木先生は、頭痛診療DXを推進する新進気鋭の若手脳外科医と思います。その卓越する行動力と課題達成力を改めて目の当たりにしました。全スライドを躊躇なくいただきましたので、これからの日本の頭痛診療はこうなる!という先見性も含め一部紹介したいと思います。

頭痛に関するスティグマを改善させることで片頭痛患者の年間経済損失の改善が期待できる点。

薬物乱用頭痛(MOH: 薬剤使用過多による頭痛)をとめるのが頭痛診療の目標のひとつである点。

糸魚川市での学校保護者アンケート調査から見えてきた問題点と、Dx推進で対処できる方向性。

富永病院症例から勝木先生が作成したAI精度。将来的にはすべての医療機関で科を超えて片頭痛の診断ができる可能性があります。

とはいえ、頭痛ダイアリー(紙・LINEアプリ)は、必須。

下スライドを見てもわかる通り、オンライン診療だけでも頭痛は改善できます!オンライン診療は日本であれば患者さんはどこからでも受診でき、医師はどこにいても診療できることがわかります。ほどがや脳神経外科クリニックでも、エムガルティ在宅自己注射を導入した患者さんが、滋賀県に転居したあとも処方を当院オンラインで続けている方がおり、移動や待ち時間・経費が削減できます。勝木先生の内容は多岐にわたり、たくさんのヒントをくださいました。勝木先生!ありがとうございます!

講演2では、横浜の頭痛診療では豊富な臨床経験をもつ、のげ内科・脳神経内科クリニック 院長 渡邊耕介先生に講演いただきました。渡邊先生とは企業講演でもしばしば協働しています。クリニックのチーム医療の重要性を啓発しており、当院看護師もナースセッションをご一緒したりしています。

同じく全スライドを躊躇なくいただきましたので、一部紹介いたします。エムガルティはCGRPの中でも最も簡単に自己注射ができる薬と思います。来院頻度を減らすことができ、調子がよければ自分で注射の期間を調整することができる薬剤です。在宅自己注射導入が圧倒的である渡邊先生よりコツを学びました。頭痛をはじめ自律神経領域を改善するには、医師患者間のラポール形成が重要です。それがあれば、頭痛の改善効率は高まり、CGRP導入もスムーズで反応性もよくなり、在宅j自己注射ハードルも越えられます。注射周辺はナースが入ることがチーム医療として重要です。

ディスカッションは、オンライン開催を忘れるほど、3人で情報交換ができました。最後に、勝木先生を囲んで記念撮影(^_-)-☆

Migraine WEB Forumーアジョビ

大塚製薬主催 Migraine WEB Forumがありました。川崎市・横浜市(青葉区・緑区・都筑区)中心の先生方が集まり、情報交換をしました。

前半は、神奈川北部の頭痛名手が集まる中、僭越ながら40分の特別講演を担当させていただきました。「フレマネズマブをどのように使うべきか」という発表の前半は、です。一般的な、片頭痛の原因・疫学・生活支障度への影響・労働生産性低下への影響をお話しました。

(下スライド)簡単に申し上げると、いわゆる頭痛もちとして市販薬で恒常性を維持していたところ、各種増悪因子により、慢性化に至ります。この段階では、日常生活を普通に送ることが難しくなり、休職退職・休学⇒通信性・休日のイベント(ex ディズニーランド)が億劫になります。

後半は、

をお示しいたしました。

(下スライド)当院に頭痛で受診され、片頭痛の診断がついたかたはおおよそ8000人いらっしゃいます。従来予防薬で落ち着いている方も多くいらっしゃいますが、状態が悪化している場合、それが慢性片頭痛や高頻度反復性片頭痛であった場合、アジョビはじめCGRP薬が適応となります。

会のディスカッションパートでは、3人の頭痛治療家から、各医院紹介からはじまりました。北薗先生は、川崎市立川崎病院での、完全予約制の頭痛外来についてご紹介がありました。北薗先生ほか、先日別会であった布施先生など頭痛専門医3人体制という強靭な頭痛診療体制と感じました。宮前平脳神経外科クリニックの上野龍先生からは、開業1年にして1100人の片頭痛患者および36名のCGRP処方という勢いのある立ち上げを伺いました。さいた脳神経・糖尿病クリニックの板谷先生からは、最近はじめた片頭痛へのとりくみや抗CGRP製剤の使用経験についてお話がありました。

ディスカッションテーマ①「抗CGRP製剤はいつまでつづけるべきか」:1-1.5年継続できれば オフ前に予防薬でリバウンドをカバーする などありました。私見ではEMやsuper responderは、より早期に離脱可能と思うこともありますが、地固め期間を設けて最低6か月推奨というところでしょうか。中断事由で多い経済的問題に関しては、CGRP薬の恩恵があれば経済的に余裕が生まれることが多いため、不要であったか短慮であったか悩むところです。

ディスカッションテーマ②「インフォームドコンセントのコツ」:苦しむ患者の理解を家族に促す 余暇の障害の改善 日割計算で400円の支出にとどまる などありました。

最後に、記念撮影。左より、北薗先生 ひぐらし 板谷先生 上野先生 平元先生 平井先生 原先生(^^♪

平井先生は、小生の弟、憲道(慈恵医大小児科)同期であることを今回知りました(は行で隣同士)。来年5月に弟が武蔵小杉で開業する後も、日暮兄弟ともども本会の先生方にはお世話になりたいと思います(__)。※Duo Band 憲雅 (B, Pf)

興和㈱社内研修-アリドネ

キャベジンコーワなどで有名な興和㈱社内研修会がありました。認知症に関して社員さんに対して教育講演をいたしました。認知症の疫学・病理・中核症状・BPSDなどにおいてお話し、薬のみならず家族教育の重要性についても言及しました。

(下スライド)特に軽度認知障害MCI~初期にみられる現象です。いつものお父さんの日課などにミスがみられるため、家族や配偶者がダメ出しすることがよくあります。本人は、分からないこともある一方でプライドもあるため、様々な対応をします。

(下スライド)認知症ケアの理念としては、パーソンセンタードケアであり、ケアする家族は、’とてもいいひと’にならないと居宅ケアは難しくなっていきます。患者本人のできることに関し、家族の期待と、本人の実行機能障害(本人は自分はいつも通りできていると感じている)の間に齟齬が生まれ、もめごとが生まれるカラクリです。本人のダメ出しではなく、できること探しをすることが本人の自信が高まり、認知症増悪の予防になります。

興和は、アリドネというパッチ剤を上市しました。貼付剤の壁のみこえたら、従来の内服アリセプト(ドネペジル)よりも効果的かつ副作用は少ないようです。来年4月ころから14日処方が解除されます。根本治療薬のレケンビ(レカネマブ)が上市されますが、副作用の重さやコスパなど課題があります。マクロ経済でも問題となっている社会保障給付費の膨大が懸念されますが、基本は、予防薬+環境調整(運動・趣味・よいケア環境など)が重要なことにはかわりはありません。

会終了後、所長さんと担当営業さんと楽しく情報交換会をいいたしました(^^♪

発作間欠期・在宅自己注射-エムガルティ

日本イーライリリー株式会社主催 Migraine Web Conference in Kanagawaがありました。「頭痛」のみならず「脳卒中」でも県内共働している えびな脳神経クリニック院長 岩田智則先生にご講演、座長は当院おとなりの東戸塚脳神経外科クリニック院長 中山敏先生でした。日暮はdiscussion担当させていただき、Discussuntとして、片倉町あかり脳神経内科・内科クリニック院長 金塚陽一先生と、川崎の宮前平脳神経外科クリニック院長 上野龍先生を招聘しました。

いつも岩田先生の講演は明解で、スライドがきれいで大変勉強になります。スライドを拝受いたしましたので、一緒に供覧したいと思います。 (上スライド)片頭痛発作のある日とない日の狭間が、「片頭痛発作間欠期」となります。発作がないからよいかというと、生活支障があることが明らかとなっております。(上スライド)患者さんにおいて、片頭痛発作時の多様な自律神経失調は よく知られております。しかし、頭痛がないときでも、間欠期支障があります。上スライド右上にまとめられた内容がそれにあたります。

(上スライド)特に、集中力低下・易疲労・抑うつなども、片頭痛コントロール不良に基づくものであることが示されています。

(上スライド)片頭痛の患者さんにはすでに有名になっている抗CGRP関連抗体薬(今回はエムガルティ:ガルカネズマブ)は、創薬基盤推進研究事業においても、貢献度・患者満足度ともに8-9割のすぐれた薬であることがわかります。エムガルティは、発作抑制のみならず発作間欠期においても力を発揮するものであり、すでに使用している当院の患者さんはじめ、恩恵を享受している患者さんは増えていると思います。

Discussionでは、「在宅自己注射を推進するために」および「片頭痛診療のチーム医療」について、金塚先生・上野先生よりご意見を賜りました。金塚先生からは、しゃべる絵本をもとにエムガルティの開始を安心して導入し、一般の薬と同様に自宅でも注射管理できるものであることを情報提供しているとのことです。上野先生からは、HIT6やダイアリーを供覧して状況を確認し、看護師と一緒に注射することで在宅自己注射を受容する説明を工夫しているとのことです。医師のみでは十分説明することは不可能であり、看護師・事務さんなどの力を借りながら、片頭痛診療を効率的に行うことが大切です。

注射という侵害刺激を自らの身におこなう経験をした人は少ないと思います。この壁は、絶対無理な方もいますし、やってみたら「こっちのほうが楽」という方もいます。在宅自己注射の話は、CGRP製剤が必要となった片頭痛患者さんのみの議論であり、大半の片頭痛の方は直面する状況ではないかと思いますのでご安心いただくとともに、希望時は最大限サポートいたします。

左より、上野先生 金塚先生 岩田先生 中山先生 ひぐらし

エムガルティ-在宅自己注のポイント

Emgality Tean Care Conferenceがありました。診療の合間の昼セッションでしたが、楽しく勉強できました。講師は、富士通クリニックの五十嵐久佳先生と榮角愛看護師でした。

病院に相談にくる片頭痛患者さんの多くは、高頻度反復性片頭痛~慢性片頭痛という生活支障度の高い方が多くいらっしゃいます。従来予防薬で功を奏する場合も多くいらっしゃいますが、抗CGRP関連薬CGRPmAbsが必要になるケースも増えてきています。頭痛外来やCGRPmAbsも少しずつ普及してきており、当院でも連日注射をうつ診療が10%を超えてきています。また注射予防薬(CGRPAmAbsも含め)3か月単位で効果判定をすることが基本です。そこで、在宅自己注射で3本もちかえりができる方は移行することで、多くのメリットがあります。追加施注のタイミングを自己設定できる 所属保険者により付加給付で安く購入することができる 来院頻度を低減できるなどがあります。

一方で、自己注射に抵抗を感じる人も多いかと思います。しかし、学習と実行により、比較的簡単に学習できると学びました。自分で打つ場合は、皮下脂肪の多い腹部や大腿上面が適していると思います。希望者は、下のスライドのQRからの説明をみて(PCで拡大して携帯で読み込めます)、看護師と一緒にまずは院内で練習していくことで、すぐに学習できるものと考えます。エムガルティの自己注射デバイスは上のスライドのように簡便で特別なテクニックも必要ありません。

3回目までは当院で医療者が注射することが基本で、患者さん毎に継続が有効であると判断した場合、自己注射も選択となりますので、お気軽にご相談ください。

完全WEB講演にてscreen shotで記念撮影(五十嵐先生、いつもご指導あありがとうございます(^^♪)

アジョビ-update(大島先生よりご寄稿)

当院で非常勤外来を担当させていただいております、大島聡人です。この度、大塚製薬株式会社様のアジョビ スペシャリストフォーラムにて講演の機会をいただきましたので、その内容を寄稿させていただきます。
The 2nd AJOVY Specialist Forum in Kanagawa

本会は、CGRP関連製剤のアジョビに関する頭痛診療に焦点を当て、講演とディスカッションを通じた深い学びの場となっています。講演会は、座長の鈴木康輔先生のご進行のもと、北里大学神経内科学准教授の北村英二先生と私の2つの講演で構成されました。北村先生のご講演では片頭痛の診断から基礎的な背景、治療、病診連携に至るまでの包括的なレビューをいただきました。頭痛診療のエキスパートの先生ですので、頭痛診療を大局的に俯瞰されていて、治療の手札も広く、30分間という時間以上に密度の濃い内容で大変勉強になりました。

私の講演では、主に当院の頭痛外来のデータを解析して得られた知見を発表しました(データは全て完全匿名化されています)。まず、頭痛の症状で来院し、椎骨動脈解離VADが発見された約100名の患者さんの頭痛の特徴や、その後の予後を推定する重要な因子についての報告を行いました(現在論文作成中)。

また、アジョビを始めとするCGRP関連製剤の使用経験に関する当院のデータも共有しました。200例のCGRP関連製剤3製剤間での頭痛による生活支障度の減少効果の比較検討から、いずれの製剤も高い効果が確認されました。特に、アジョビは、少なくとも6回の投与までHIT-6 score(頭痛の重症度を示す指標)が継続的に低下傾向を示し、平均で-12.3も低下することが確認されました。

ディスカッションでは、アジョビの即効性や、治療の継続・終了のタイミング、副作用の少なさなどについてより実践的な議論を交わすことができました。

このような深い見識を持つ先生方との学びの場を持つことができたのは、私にとって大変貴重であり、これを今後の診療に生かしていきたいと考えています。また、解析したデータをまとまった形で発表できたことは、今後の診療と研究活動の励みとなりました。今後、頭痛診療の進展に貢献できればと思っております。

大島聡人

片頭痛:漢方と抗CGRP抗体関連薬(大島先生よりご寄稿)

当院で非常勤外来を担当させていただいております、大島聡人です。この度、第31回日本脳神経外科漢方医学会学術集会に参加・発表をしてきましたのでご報告申し上げます。

本学会は、脳神経外科領域での漢方療法に関する研究に特化した学会であり、学術集会は年1回開催されています。私は今回で参加3回目、発表2回目でした。漢方療法に興味を持ったきっかけは、医師5年目ごろに西洋薬ではどうしても症状がすっきりと良くならない患者さんに漢方薬を試したところ、次の外来で驚くほど良くなったというケースを何例か経験したことです。その後、漢方医学を学ぶために勉強会やセミナーに参加して、そこで得た知識を実践して、実際に救われる患者さんを多く経験してきました。私が専門とするがん(悪性脳腫瘍)の診療においても、漢方薬は大活躍しています。漢方薬は、複数の生薬の絶妙な組み合わせによって、多面的な効能を発揮するのが持ち味です。したがって、西洋医学的には「不定愁訴」として扱われてしまうような一元的な解釈ができない症状に対しても、漢方療法では対応可能なケースがあることが魅力です。このように、西洋医学と漢方(東洋)医学は対立するものでは決してなく、むしろ相互補完的な側面があると理解しています。本邦では、漢方療法が保険診療で認められていますので、これを有効に活用しない手はありません。

私が今回発表した内容も上述のような観点に基づき、片頭痛診療においてパラダイムシフトを起こしているといっても過言ではないCGRP製剤(西洋薬)と、これに漢方薬を併用した場合の効能や実態について当院のデータをまとめたものになります。結論として、CGRP製剤と漢方薬は安全に併用可能であること、また気候変化やめまいに影響を受ける方には五苓散の併用が、薬物乱用頭痛に対しては呉茱萸湯の併用が奏功する場合が多いことを見出しました。

本学会は今後、名称を「脳神経漢方医学会」に改称し、外科にとどまらず内科も含めたより広い脳神経領域の学会となることを目指しているそうです。漢方医学は大変優れた治療法であるのは経験上間違いないと思っていますが、これが世界中に広がるためには科学的に質の高いエビデンスを蓄積していくことが必須と考えます。これこそが今の日本の漢方・東洋医学界に求められていることであり、私もごくごく微力ながら貢献できればと思っているところであります。

大会長(横浜市大脳外同門) 林明宗先生と

AJOVY発売2周年記念講演会

大塚製薬主催、AJOVY発売2周年記念講演会がありました。今回は、日本頭痛学会会長の所属する、大阪の富永病院から頭痛センター副センター長の團野大介先生をお招きし、日本頭痛学会理事の諸先生方(日暮以外)で構成され、久しぶりの現地+WEBのimpressiveな会でした。WEB参加が多い昨今、大阪より遠路来ていただけた團野先生に感銘を受けました。日暮は、クリニックベースでの頭痛診療およびCGRP使用状況につき、統計解析データなど報告いたしました。

團野先生の講演では、アジョビをはじめ最新の頭痛診療のエビデンスをお示しいただき、アップデートいたしました。小児・思春期から治療介入した方が生涯の障害が低減する可能性 70%の片頭痛の方々が頭痛外来に相談されていないためさらなる啓発必要 CGRP薬で改善がえられても地固め療法が必要 CGRP薬は薬物乱用合併例において有効 などご教示いただきました。

・片頭痛の状態が悪い患者さんでは、中脳水道灰白質に鉄沈着しているケースが多いです。團野先生から拝借したスライド(以下)では、鉄沈着と片頭痛の持続時間および発作頻度と相関するエビデンスが示されました。

・CGRP薬で大うつ病患者において45.5%、全般性不安障害の患者さんで45.8%で、それぞれうつ・不安が改善する報告が示されました。CGRP薬って、すごいくすりですね(‘ω’)ノ

・発作間欠期のwell beingを目指すことも重要であり、発作がないときでも不定愁訴があったり、brain fogがあったりしますが、CGRP薬はそれらも一掃するパワーがあり、このことは日暮も実臨床で患者さんからよく教えられます。團野先生からいただいたスライドでは、頭痛ありとなしの狭間の10日間の支障が見逃せない支障度となります。

目に見えない頭痛、奥が深く勉学の楽しみもあり、患者さんとの喜びの共感もあり、さらなる深堀が楽しみでもあります。

お役割の先生方と。
右より、團野先生 永田先生 秋山先生 ひぐらし 五十嵐先生

情報交換会の最後に残った横浜市の熱い頭痛治療家と。

右より、
・片倉町あかり脳神経内科・内科クリニック 金塚陽一先生
・横浜市立市民病院 脳神経内科部長 山口滋紀先生
・聖マリアンナ医科大学 脳神経内科教授 秋山久尚先生
・横浜青葉脳神経外科クリニック 古市晋先生
・いえまさ脳神経外科クリニック 張家正先生
・いとう横浜クリニック 伊藤健次郎先生
・ひぐらし
・国立横浜病院横浜医療センター 脳神経内科部長 上木英人先生