川崎市宮前区-頭痛勉強会エムガルティ/レイボー

川崎市宮前区医師会学術講演会ー地域医療のための研修会ーがありました。講演会の機会をいただきまして、宮前区の先生方には大変感謝申し上げます。

今回は、横浜市大脳外科後輩かつラグビー部後輩でもある上野龍先生座長でお話ができたことがとても嬉しかったです。上野龍先生は、今年、宮前平駅前に脳神経外科クリニックを開業されました。

日暮の方からは、質の高い頭痛診療の均てん化において、かかりつけ医の先生方との共働が不可欠であることや、エムガルティ・レイボーの効果的な使い方などお話させていただきました。

Youtuberでも活躍されている、聖マリアンナ医科大学 脳神経内科 櫻井謙三先生より、大学病院における頭痛診療について、勉強させていただきました。「MRI/CTで異常なし⇒頓用のみ処方」によって頭痛患者さんが頭痛難民となってしまうことに対する警鐘をいただきました。画像でわからない二次性頭痛に関しても多くのご教授をいただきました。「芥川龍之介の歯車」の話は印象深く、今でいう「前兆のある片頭痛」を文学的に表記されている記載でした。また、エムガルティはじめとしたCGRPmAbの効果・継続性が大きいことをお示しいただきました(論文Figのスライドをいただきました)

櫻井先生の神経内科疾患のYoutubeも是非ご覧ください。

脳神経内科 けんぞぉ先生の診察室

アジョビupdate 

大塚製薬株式会社主催 「片頭痛を診る会」がありました。いつもお世話になっている横浜エリアの諸先生方との意見交換ができました。  

前半に、日暮のほうから、一般的事項をお話しいたしました。以下の方は、頭痛外来での相談をおすすめします。①頭痛で仕事や学業を休む方 ②頭痛薬をもたずに遠出することに不安を感じる方 ③軽くても頭痛日数が月10日を超える方 ⇒①はトリプタン製剤などが使えるようになることが必要 ②③は頭痛予防薬により、頭痛の回数や重症度を下げることが必要。予防薬の最高峰にCGRP関連注射薬があり、とてもよくききます。近々やや安くなります。当院におけるアジョビデータを提示します。初回より大きく頭痛支障度が低下し、維持されていることがわかります。

郭先生、清水先生、上木先生より、各施設の頭痛診療の現状をご提示いただきました。特に病院においては、重い病気が多々ある多忙ななかでも、一次性頭痛の診療を熱心に行っていること。大学から東戸塚脳神経外科クリニックに異動した清水先生も「MRIで終わらない頭痛外来」を本格的に始めていることに感銘を受けました。横浜界隈の頭痛診療の輪を広げていけたらいいなと思いました。

地域共生社会の視点-認知症

第87回 横浜内科学会 神経研究会があり、座長を担当しました。認知症にまつわる様々な仕事を共にしている(一方的にご教授いただいている?)メモリーケアクリニック湘南 院長 内門大丈先生にご登壇いただきました。チラシ背景はエーザイ株式会社がアルツハイマー型認知症関連でよく使うものです。新薬の登場予定であり、近い将来に認知症診療は大きく変わる可能性がありますが、やはり大切なのは、「地域共生」という理念です。

2016年に一億総活躍プランが唱えられ、その中でも「地域共生社会の視点」の重要性・目標が掲げられました。内門先生の拠点は平塚で、クリニックも「連携型認知症疾患医療センター」の役割を担っており、初期集中支援チームとしてゴミ屋敷問題などに取り組み・疾患医療センターとの連携・多職種連携で介護職の教育と共働など多岐にわたり運営されております。認知症カフェや本人家族の一体的支援プログラム、認知症サポート医のスキルアップ会議などを熱心に行っているとのことでした内門先生よりいただいた、初期集中支援と在宅医療による「アウトリーチ機能」のスライドです。MCIは軽度認知障害で、認知症の手前です。各ステージにおいて、シームレスに適切な医療を提供していくことが示されています。

内門先生よりいただいた、「一体的支援プログラム」のスライドです。比較的新しい手法で、患者は患者、家族は家族として支援をしていたサポートシステムを、患者と家族を一体的に支援するプログラムです。台頭な立場を維持する運営側のテクニックが必要なようです。平塚のSHIGETAハウスでは、この事業を行っています(事業認定されると補助金がでます)。

~最後に、私から質問させていただいたこと~

・独居生活にもかかわらず、本人の拒絶や介護抵抗が強く、ケアが入れないケース ⇒初期集中支援チーム(各ケアプラザ)

・外来通院していた患者さんが、せん妄・急なBPSD増悪があり、家族や周辺社会の負担が突然ふえたときの対処法 ⇒精神科病院あるいは初期集中支援チーム(家族レスパイト)

・患者本人はBPSDなく、MCI~軽度レベルであるが、家族や友人などの周辺のひとびとが大騒ぎして本人に過干渉しはじめた場合 ⇒家族教育が必要

第150回 脳神経外科関東地方会

第150回 日本脳神経外科関東支部学術集会がありました。今回は、私の親友である虎の門病院 脳神経外科 部長 原貴行先生が会長でしたので、是非とも横浜からも応援したいと思い、多くの座長、多くの市大関係組織から演題を協力いただきましたた。下の写真は、座長を担当していただいた、左から横浜市立大学脳神経外科 末永潤先生、園田真樹先生(写真にはいませんが市民病院 増尾先生も含め3人)それと、当院の片頭痛診療について講演いただいた大島先生、日暮です。演題発表してくれた関係施設としては、①横浜労災病院 ②③④横浜市立大学脳神経外科 ⑤横須賀共済病院 ⑥横浜市立大学付属市民総合医療センター ⑦神奈川県立こども医療センター ⑧横浜市立脳卒中神経脊椎センター ⑨小田原市立病院 ⑩横浜市立市民病院 と10演題、4月人事のご多忙な時期にご発表いただけましたこと、うれしく思います。

大島先生からは、「CGRP関連抗体薬3製剤の有用性の比較」と題し、当院でのpreliminalyな報告をしていただきました。3製剤で有効性に差はないものの、45歳以上の方がHIT6低下が優位差をもって改善する傾向が示されました。

原先生と堀川先生と写真をとりたかったのですが、理事会に入ってしまい、白馬セミナーでの写真を転用します。左から、日暮 堀川実行委員長 原会長

最後に、本会にスポンサー提供したポスター、デザイナーさんに丁寧につくってもらいました。

アジョビupdate

アジョビ Specialist Forum in Kanagawa の2日目が開催されました。座長は、湘南鎌倉総合病院 脳神経内科 部長 川田純也先生でした。 講演①では、総合新川橋 病院 脳神経外科 部長 小島利彦先生より、「抗CGRP 製剤導入のコツ」 として、拝聴いたしました。反復性片頭痛より慢性片頭痛で効果が減弱するので、EM反復性片頭痛の時点で処方を検討したほうがよい。オートインジェクターが開発されたが、シリンジでゆっくり注射されると痛くないという方もいる。CGRP製剤は有効性が高く、世界が変わるという患者さんからの声も多い。各患者ごとに予防目標をたてて、CGRP3剤を使い分けていきたい。とありました。

講演②では、日暮から、病態・経済損失・当院での経験などについてお話ししました。片頭痛の受診率はおおよそ1/3の患者さんが受診されており、アジョビなどCGRPが必要な症例が1/5程度であることが過去資料から予測できますが、十分にその恩恵が普及できている状況ではありません。当院のアジョビ経験につき、スライド添付します。

タリージェとエムガルティ

横浜市保土ヶ谷区医師会 第一三共株式会社 共催で、「痛みを克服するためのWeb Seminar」がありました。

前半は、聖隷横浜病院 脳血管内治療科部長 兼 脳神経血管・高次脳機能センター長 佐々木亮先生 座長のもと、日暮のほうから、「脳神経外科医がお伝えしたい頭痛外来の現状」として、頭痛外来の流れ、片頭痛による経済損失・労働生産性低下への影響についてお話しました。また、2020年の論文から、状態がわるいのに受診しない片頭痛が多いこと、全国的に予防薬概念の低さについてお話しました。2021年に、エムガルティが発売されると同時に、大きく片頭痛に関しての啓発が行われたので、最近はどのくらい改善されているのか期待されます。

後半は、古川医院 院長 古川誠一先生(保土ヶ谷区医師会理事 学術担当)座長のもと、横浜市立市民病院脳神経内科部長 山口滋紀先生から、「日常診療における頑固な痛みへのマネジメント」としてご講演いただきました。山口先生には、パーキンソン病・不随意運動・末梢神経障害・高次脳機能障害など判断に苦慮した症例を相談しております。頑固な痛みに関しても同様です。タリージェは三叉神経痛や末梢神経障害・脳卒中後疼痛など幅広く使えることがわかりました。

記念撮影:左より、佐々木先生 山口先生 古川先生 私

レイボーのトリセツ

日本イーライリリー株式会社主催、「レイボー Update Seminar in 神奈川」がありました。今回は、えびな脳神経クリニック 院長 岩田智則先生より、「片頭痛診療の最前線~新規治療薬レイボーの登場」と題して、ご講演いただきました。日暮は、座長とディスカッションのfacilitatorを担当させていただきました。コメンテーターとして、頭痛診療エキスパートである、たぐち脳神経クリニック 院長 田口博基先生と、湘南鎌倉総合病院 脳神経外科 医長 堀田和子先生にご参加いただきました。

レイボーは、頭痛市販薬やトリプタン製剤と同様、痛いときに飲む痛み止めの最新版です。参会者で共有共感された現時点でのコンセンサスは以下の通りです。ご興味がある方は、気軽にご相談ください。

●推奨される方:現行の痛み止めではスッキリ痛みの芯が取れない方 最後の砦としてイミグラン注射や点鼻に抵抗がある方 脳梗塞や心筋梗塞などの血管閉塞リスクのある方 高血圧や動脈硬化がある方

●始め方:初回使用時は、50mg錠から、休日・眠前・頭痛で寝こむ前などに内服を開始。眠気などの副作用が気にならない方で、物足りない方は50mg錠2錠を経てから100mgへ移行。

片頭痛の患者さんは、発作中は特に感覚過敏になります(めまい・眠い・だるい・羞明など)。レイボーは脳への移行率が高いため、除痛効果は抜群なのですが、50mgでも昼の仕事中などに内服すると数時間ねむけなどがでる場合があります。副作用は服用を慎重に重ねることにより軽減されます。いずれも片頭痛治療を専門に扱っている医師に尋ねてみてください。丁寧に説明くださりますよ(^^♪

脳卒中と高血圧を考える会

大塚製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社共催で、「脳卒中と高血圧を考える会」がありました。今回は、日暮のかかわりの深いよく医療連携や経営交流をする先生方で集まりました。 

講演①では、脳神経外科東横浜病院 郭彰吾先生 座長のもと、子安脳神経外科クリニック 子安英樹先生より、「当院におけるエンレスト使用経験」と題して、貴重な60症例の経過報告をいただきました。高血圧は、新規・再発ともに脳卒中(脳出血・脳梗塞)の代表的危険因子です。エンレストは、2種類の降圧薬の合剤であり、Na利尿ペプチドの分解抑制が含まれますので、塩分接種が過剰になりがちな日本人において、良い薬となっていくと考えられます。また、たくさんの薬を飲んでいる患者さん(ポリファーマシー)は問題ですので、その整理の一端としてエンレストの活用例も紹介いただきました。日暮も血圧管理をより繊細に行わなければとご教授いただきました。

講演②では、日本の血管内治療のトップリーダーある横浜市立市民病院 脳血管内治療科 増尾修先生 座長のもと、横浜市立大学附属病院 脳神経外科 清水講師から、「脳血管内治療の最前線ーどんなことができるのか?」と題して大学での血管内治療を駆使した高難度疾患の症例シリーズを伺いました。内容は、巨大動脈瘤・硬膜AVF・AVM・巨大髄膜腫術前塞栓に及び、日暮の知らない細かい血管の名前まで明解に紹介しながら、日進月歩のデバイスを駆使して、難問にチャレンジしている実績、横市脳外の脳卒中部門の成長に感銘を受けました。脳卒中治療前後はもちろんのこと、新規・再発ともに脳卒中予防において、エンレストに期待する部分は大きいと考えます。

第37回 白馬脳神経外科セミナー

第37回 白馬脳神経外科セミナーがありました。全国各地の熱い脳外科医が雪山に籠り、寝食を共にしながら、スキーで勝負し、演題を出し合い議論し、深夜まで暖炉を囲んで懇親を深める、普段の学会では類をみないおもしろい学会です。大学時代はよく参加してましたが、開業してからはご無沙汰しておりました。今回は、平素より大変お世話になっている兄貴分   横浜新都市脳神経外科病院 院長 森本将史先生が会長をされるとのことで、フル参加させていただきました(この間、当院の患者さん、代診をしていただいた先生方に深謝いたします)。

今回は、「熱かったこと3選」で紹介させていただきます。長文、写真多め、内容は脳外科業界寄りとなります。

熱① マジレース:アルペンスキー部上がり脳外科医が多く25旗門程度のGSセットで2回平均です。12位でしたが、久しぶりのコースで、DNFにならずほっとしました。(下:大会長と1本目前に)

熱② 重鎮からの心に刺さる講演:全国各地から楽しい発表を拝聴いたしました。特に、信州大学名誉教授からの講演は心に刺さりました。脳外科教育において、知識・技術などがクローズアップされがちですが、本スライドが示す通り、それ相応の人徳(思いやりの心)の育成が大事です。医学に関わらず昨今の教育現場ではあまり重視されていないケースが多い印象です。配慮する必要がありますが、煩悩と徳は年齢とともに大化けは望めないものの正しい実行をしていくことで脳内で徳心が育まれる可能性があると感じています。

熱③ 重鎮脳外科医・オピニオンリーダー的脳外科医密度が濃い:

藤田保健衛生大学 名誉教授 佐野公俊先生:開頭クリッピング術件数におけるギネス記録保持者で、「世界の佐野」です。日暮がオーストラリア留学する際に、Macquarie大学のAVM名手Michel Morgan先生と、NSW大学の鍵穴手術名人Charlie Teo先生へのレターを、佐野先生が書いていただいたことで、充実した活動ができました。川崎の新川橋にもいらっしゃり、引き続きご教授いただきます。

信州大学・京都大学・東京大学系の先生方と:右下の信州大学名誉教授 本郷一博先生は、白馬常連(そもそも白馬セミナー自体信州大学の杉田先生から)。私も何かと定期でお会いしている先生で、とても温厚で癒されます。

埼玉医科大学脳外科チーム(川越・国際):右上の吉川先生は、弘前大学出身でスキーもライバルで、もと横浜市立大学で一緒に手術をした後輩です。埼玉も常連で強い。

森本会長と英賢一郎先生と。英先生は、福島孝徳先生よりMVD技術を伝授された、西宮の脳外科部長です。実は以前、奄美大島の名瀬徳洲会の切り盛りを共にしていたことがわかり、不思議なご縁だなあと感じました。

ロッジの暖炉部屋で集合写真

森本先生は人と人をつなぐ天才(強いパイオニア+柔軟なカタリスト)と思います。人は宝であり、今回も多くの熱い脳外科医と人脈ができました。明日からの診療への活力をいただきました。

脳神経外科医も片頭痛を診ていこう!

頭痛学会・アムジェン株式会社主催の、Headache Lecture for Neurosurgeonsがありました。脳神経外科医が頭痛診療をする際のテーマで、大学の山本哲哉教授座長でした。shrot lectureとして、以前当院代診にもきていただいていた清水信行講師のアイモビーグ10症例経験および椎骨動脈解離の血管内治療につきご講演、片頭痛診療へのお考えを拝聴いたしました。4月より大学を離れ、当院おとなりの東戸塚脳神経外科クリニックへ異動されますので、ますます片頭痛とお付き合いすることとなると考えます。freshかつ洗練された講演でした。

後半は、脳神経外科x頭痛診療でも大変ご高名な、前山口大学脳神経外科教授(現在は間中病院で診療に当たれております)鈴木倫保先生の講演を拝聴しました。脳神経外科医が抑えておくべき一次性頭痛や、MRIをスルーした二次性頭痛への注意など喚起いただきました。前兆をもつ片頭痛のかたが経験される閃輝暗点時の脳の経時的変化の動画など貴重でした。また、外傷後に片頭痛もちになるメカニズムなどもご教示いただきました。

Webメインでしたが、日暮も現場でアイモビーグの売りなどコメントする機会をいだきました。その後、情報交換会で、みなさまの頭痛経験やこれからの頭痛診療の在り方などにつきお話いたしました。(鈴木先生を囲んで記念撮影)