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新しい片頭痛治療薬レイボー/エムガルティ

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戸塚区医師会 日本イーライリリー株式会社 第一三共株式会社主催で、片頭痛フォーラムがありました。今回は東戸塚・戸塚と近隣の脳神経外科クリニックの先輩方座長のもと、前座として小生からCGRP薬の使用状況を報告させていただき、頭痛診療における日本の中枢のひとつである大阪の富永病院から、頭痛センター副センター長 團野大介先生より最新の頭痛診療エビデンスのご講演をいただきました。

以下、新たに提示されたポイントをいくつか紹介いたします。

レイボー(ラスミジタン)について:レイボーは痛いときにのむ頓用薬です。三叉神経終末のセロトニン5HT1F受容体を刺激してCGRPの分泌を抑制して頭痛を改善します。内服して30分から効果が出現し、2時間後に頭痛を消失させ、24時間と長い間効果が持続します。血液脳関門BBBを通過しやすいため、トリプタンと比べて内服するタイミングが遅れても効果を発揮します。朝起きて片頭痛が強度でも内服して改善する声を患者さんから耳にします。一方、ふらつき・ねむけ・めまいが発生しやすいため、初回から慣れるまでは、夕方から夜・休日にトライすることがすすめられます。これらの副作用は数回重ねることで慣れる傾向があります。体質にあってうまく使えれば大きな味方となりそうです。

昨年発売されたエムガルティ(ガルカネツマブ)を機に、大学病院など大きな病院でも「頭痛外来」が開設されはじめているようです。片頭痛の生活支障や経済損失の大きさが認識され、メディアでも取り上げられる機会が増えているようです。抗CGRP関連抗体薬は、約半数の患者さんで発作日数が半減、10-20%で完全に消失するケースがあります。特に、薬物乱用頭痛症例においてはよい適応となり、頓用薬の内服を我慢せずとも軽快していきます。頭痛が消失した症例で抗CGRP関連抗体薬を中断してもその後再発してこないケースもあります(卒薬)。注射で改善して定期継続している患者さんのうち10%弱は、初回効果が減弱するケースがありますが、投薬前に比べれば大きく改善しているようです。現在までのところ、当院でも169例に使用しており、その効果を多くの患者さんが享受されております。