レイボーのトリセツ ver.1.2

日本イーライリリー株式会社主催、「片頭痛の急性期治療を考える会」がありました。いつもご教授いただく、聖マリアンナ医科大学脳神経内科教授 秋山久尚先生ご講演、座長は北里大学出身の藤沼内科クリニック院長 藤沼邦彦先生でした。後半は、日暮がfacilitatorとなり、東戸塚脳神経外科クリニック 副院長 清水信行先生にもdiscussuntとして参加していただきました。新規に発売され1年が経過したレイボー(ラスミジタン)の用法・効果・実臨床における実際につき、秋山先生にご講演をいただきました。

すでに周知の事実となっている点として、従来のトリプタン製剤(リザ・エレ・スマ・ゾルミ・ナラ)は、血管収縮を引き起こす点が、高齢者や心筋梗塞や脳卒中既往者には使いづらい点となります(下図 秋山先生より拝受)

レイボーはこれらに干渉することなく、血液脳関門BBBを速やかに通過するため効果が早く、片頭痛の「芯」をとる、あるいは後手となった片頭痛の後半局面やアロディニア症状に改善効果が期待できます。脳への移行率が高いため、ある程度眠気や浮動感が数時間発現するケースがありますが、これは主効果の表裏一体と考えられます。幸いなことに、週数回程度連用することで、この副作用は低減する可能性がしめされています(GRADIATOR試験)。秋山先生の処方経験では高率に有効へ導いております(下図 秋山先生より拝受)。

50mgで開始するのがよいのか、100㎎で開始するのが良いのか、議論の余地がありますが、今後の実臨床での医師の経験値の蓄積から何かしらの方針がだされることと期待します。一方で、一定の副作用が出る可能性があるものの、「芯」をとる効果へ対する期待は高く、月経関連片頭痛で見られる、1回あると3日続いてあらゆる薬が効かないといった方へは適応となります。また、就寝中に発症して起床時にMaxとなる頭痛においては頼みの綱となる薬といえます。いずれにしても片頭痛の重い発作が起こった時には一定程度の睡眠や休息が必要なため、レイボーを内服して、仕事の集中力を回復してからハイパフォーマンスで仕事をすることが重要です。

秋山先生、藤沼先生を囲んで