大学頭痛外来と漢方頭痛クリニック-エムガルティ

日本イーライリリー株式会社主催、東日本講演がありました(北海道~新潟・長野・山梨・神奈川エリア)。講演①では、信州大学医学部付属病院 脳神経外科講師/脳血管内治療センター副センター長 花岡吉亀先生より、大学ベースでの頭痛診療について。講演②では、千葉の らいむらクリニック院長 來村昌紀先生より、頭痛診療における経営に関してご講演いただきました。日暮は座長を担当し、Discussuntとして、当院頭痛外来代診でもある横浜市立大学脳神経外科 大島聡人先生に加わっていただきました。

①花岡先生より:2022/5月から、信州大学脳神経外科において頭痛外来を設置しています。片頭痛は命にかかわらないものの、低頻度→頻度上昇→慢性片頭痛と増悪とともに生活の質が低下するケースがあり、早期診断早期治療が重要です。脳神経外科頭痛外来には、「最後の砦」として、片頭痛にお困りの患者さんが駆け込みます。現在、MRIで異常なしで急性期治療(いわゆる痛み止め)で流してしまう対応が問題視されており、薬物乱用となると慢性化移行が20倍増え、難治性になります。また、正確に片頭痛と診断することが重要です。急性期治療(頓用薬)を安易に服用しないよう患者教育も重要です。片頭痛の状態が悪い場合は、1-1.5年のスパンで予防薬治療を継続することが重要です。その後30%に再増悪がありますが、一度治療により改善した同様の治療で効果が期待できます。明確なプロトコールもお示しいただき、在宅注射ができるひとは移行することにより、シンプルかつ効果的な治療ができます。

②來村先生より:來村先生は、過去にも講演をご一緒させていただいたことがあり、漢方を駆使した頭痛診療のエキスパートです。今回は、頭痛診療での経営のコツをお話いただきました。かなりの頭痛患者さんを診られており、先生自身やスタッフの健康管理の重要性、頭痛診療自体は厚生労働省が管理料加算などの設定がないので、売上がでない(儲からない)分野です。一方、管理ツールを用いながらじっくり時間をかけて労の多い側面もあります。その中で、エムガルティの自己注射ができる方には、3本購入して在宅移行していただくことで、来院回数低減を図るなどアイデアをいただきました。大島先生の質問より、CGRP製剤と漢方のハイブリッド治療や、呉茱萸湯などによる薬物乱用脱却のアイデアをいただきました。

Discussion①:「シンプルで効果的な片頭痛治療の工夫」として、HIT6やしゃべる絵本を活用し、患者理解を深め、ダイアリーをみながら地道にPDCAサイクルでセルフケアに持っていく。

Discussion②:「片頭痛患者さんにとっての院外処方とは」では、3本もちかえることで、コントロールを患者主体にしつつ、外来に余裕を生む。エムガルティの注射デバイスは扱いやすい。クリニック平均診療単価高騰を抑える。

Closing:低頻度→慢性化に早期に気付き、first lineとしてCGRPを導入することがコスパがよいと思います。受験・大会・失敗できないプロジェクト・休職退職危機などに直面し、片頭痛増悪傾向にある場合、エムガルティというバフ魔法(ゲーム用語)をかけ、精神的レジリエンスを獲得できれば、人生のチャンスが広がるかと思います。