前頭側頭葉変性症

日本認知症学会教育セミナーがありました。認知症は、精神科や神経内科の先生が多い印象ですが、年々脳神経外科の先生方の参会が目立つようになっています。特にMRI完備の脳神経外科クリニックの先生方が増えています。脳神経外科医は、病院勤務時代は手術に専念します。しかし、開業すると多くの患者さんが「もの忘れ」の精査で脳神経外科クリニックを受診するため、認知症診療のファーストラインに立ちます。

さて、今回のセミナーでは、以前より楽しみにしていた、池田学先生の前頭側頭葉変性症の講演がありました。写真は、自身の経験した意味性認知症(前頭側頭葉変性症のひとつ)の患者さんです。海馬を含む側頭葉の萎縮があるため、VSRADという海馬の萎縮度を測るMRIで、異常値がでます。食行動や常同行動などの特徴的な所見に気付かないと、誤ってアリセプトなどの抗認知症薬を出し、かえって興奮・介護抵抗が増えます。有病率が少ないですが、もの忘れ外来には確実に含まれていますので、常に念頭におくことが大切です。