モヤモヤ病 バイパス手術

市大関連病院で、要請に応じてモヤモヤ病に対するバイパス手術をしています。

モヤモヤ病は、内頚動脈先端部の原因不明の進行性狭窄の病気です。脳の血の巡りが悪くなるため、脳梗塞・脳出血がおこったり、笛をふいたりラーメンなど熱いものを食べるときの過換気で、しびれ・麻痺・失神などを発症します。10歳前後と、40歳前後に発症することが多く、予防的に血行再建術を行う必要があります。脳梗塞や脳出血などの明らかな卒中がなくても、慢性虚血による知能発達障害の可能性もあり、早期発見と適切な治療が重要です。自然経過でも、頭皮や硬膜などの血管が血の巡りの悪い脳に自然に入り込んで、虚血症状を緩和することもあります。

手術は、血流の悪い脳領域に、頭皮の血管を直接つなげます。特にもやもや病は、頭皮の血管も、脳表面の血管も細くて薄く、手術操作で裂けたりと扱いには熟練が必要です。写真の症例も中学生の患者さんで、頭皮の血管(浅側頭動脈)が1mm、脳表の血管(中大脳動脈)が0.7mmと、とにかく細くて薄い状態でした。症例に応じて、さらに側頭筋や硬膜を脳表に接触させる手技を追加します。写真は直接血管吻合後の確認時のものです。左後ろの白黒モニターは、ICGという術中血管撮影で、2本のつないだ血管を介して血流が脳内に良好に流入していることを確認しています。

勤務医時代も今も、バイパス手術は生業のひとつですので、モヤモヤ病や慢性虚血でお困りの場合は、是非ご相談ください。