TOPへTOPへ

ブログ

認知症のお薬あれこれ

ブログ

先週末、認知症の勉強会が東京でありました。認知症根本治療薬開発のお話が興味深かったです。現在使われているお薬は、対症療法薬(アリセプトやメマリーなど)のみで、アルツハイマー病理を消滅させる根本治療薬は開発されておりません。団塊の世代が後期高齢者となる2025年までの間に「なんとか!」と日本の基礎研究者は頑張っているようです。しかし世界的には、大手製薬メーカーがその開発から手を引くなど、見通しは明るくありません。

そもそも、アミロイド蓄積→タウ蛋白凝集のメカニズムが明らかになっていません。また、PETでアミロイドが脳に溜まっていても、アルツハイマーを発症しているとは限りません。有効かつ安全な根本治療薬の開発は、これらのメカニズムの解明と併せて進展するのかもしれません。

現状は、患者さんの訴えや家族から聴取される変化をよく吟味し、神経学的所見や各種心理スケールを組み合わせるといった、丁寧な診察が正確な評価の近道といえます。てんかんや、うつ病、そのほかひそかに合併している病態や、悪さしているお薬を飲んでいないかを、常に疑いながら診療することが大切であると思います。そうすれば、現在使える各種治療薬でも、うまく調整してよい状況へ向かうことができます。また、薬はあくまでも治療の一部であり、環境調整・介護保険サービス・運動習慣・介護者教育などと併せて行わなければなりません。認知症=ADL(日常生活動作)障害ですので、ADLの維持自体が治療でもあり目標でもあります。

この記事の執筆者

院長 日暮 雅一 ひぐらし まさかず

院長日暮 雅一 ひぐらし まさかず

略歴

1999年 横浜市立大学医学部 卒業
横浜市内複数の基幹病院で修練
2005年 小田原市立病院 
脳神経外科主任医長
(2005年度 脳神経外科部長代行)
2009年 横浜市立大学大学院医学研究科
脳神経外科助教
(2011年度 脳神経外科教室医局長)
2012年 Australia Macquarie大学留学
医工連携学research fellow
2014年 新緑脳神経外科・
横浜サイバーナイフセンター医長
2016年 ほどがや脳神経外科クリニック開設
2019年 医療法人社団 正念 設立

資格

  • 医学博士(神経薬理学)
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本頭痛学会専門医/指導医
  • 日本脳卒中学会専門医/指導医
  • 日本認知症学会専門医/指導医
  • 認知症サポート医
  • 日本医師会認定産業医
  • 身体障害者福祉法15条指定医(肢体不自由 言語咀嚼)
  • 難病指定医
  • 自立支援指定医療機関(てんかん)

詳しくはこちら