聴神経腫瘍

市大関連施設からの要請に応じて出張手術をしています。

今回は、70代の右聴神経腫瘍です。聴神経腫瘍は、良性脳腫瘍の一つで、片方の耳が聞こえないことで発症することが多いです。突発性難聴と診断されて、実は腫瘍でしたというパターンもあります。大きくなると、顔の動きが悪くなる、飲み込みや手足の症状が出現してきます。本症例(写真)は、増大スピードが速く、側頭骨の破壊も目立ちます。術中迅速病理もやや異型性が目立つとのことで、錐体骨部は定位放射線治療併用とし、亜全摘で顔面神経温存しました。

聴神経腫瘍は、前庭神経鞘腫というのが正式名称で、一部顔面神経由来のものがあります。最初は耳鼻科に受診されることが多く、経過が一般的でないと判断されると脳神経外科へ相談がくることが多いです。良性腫瘍ではありますが、大きくなると手術難易度があがりますので、小さいうちに対処することが予後良好につながります。近年は、定位放射線治療が進歩しているので、切らずに治るケースも増えております。