見逃してはならない怖い頭痛:髄膜腫

明けましておめでとうございます。おかげさまで、当院も開院後3回目の正月を迎えることができました。今年もよろしくお願いします。

さて、本来「痛み」は生物に備わっている警告システムです。しかし、特別警告すべき異常がないにもかかわらず、痛みが異常発動してしまうものがあります。頭痛領域では、片頭痛などのいわゆる一次性頭痛です。低気圧や生理など、あえて警告しなければならない事項ではありませんが、その度に頭痛に悩まされている方々がいます。生活支障が少なからずあり適切な管理は必要ですが、生死や神経学的後遺症に関わるものではありません(一部のタイプを除く)。

一方、警告を正しく発動している、いわゆる二次性頭痛もあります。これらの多くは見逃してはならない頭痛であり、中には怖いものがあります。以前当ブログで可逆性脳血管攣縮症候群と椎骨動脈解離を紹介しました。今回の写真は、当院開院後に診断した髄膜腫の症例です。いずれも40-50代女性で、頭痛は軽いが毎日続くのは初めて、といったようなエピソードで来院されています。診察時も、かぜや環境負荷などによる一時的な頭痛かなと思いつつも、「初めての連日性の頭痛なので念のためMRI検査しましょう」とした症例です。結果、「当日撮影しておいてよかった」と胸をなでおろすものです。特に、髄膜腫のようなゆっくりと増大する腫瘍は、圧迫されている脳の症状が代償されるため神経症状が出にくいのも厄介で、症状がでるころにはかなり大きくなっていることが多いです。この3症例も圧迫されている脳症状は極めて軽微でした。すぐに大学病院など専門の治療家へ紹介し対応してもらいました。髄膜腫は病理学的には良性ですが、手術で取り残しがあるとしばしば再増大します。手術難度の高い頭蓋底領域の髄膜腫などは再発を繰り返すとかなり厄介です。早期発見早期治療で予後は大きく改善します。