認知症ケアで大切な3つの視点

認知症ケアは、認知症という病気の枠を超え、本人の人生プラン・家族への影響・生活環境の調整など、幅広い介入が必要です。当院では、どの病型・どのステージでもおさえておくべき3つの視点を基軸に診療をすすめています。

1つめは、投薬に関してです。抗認知症薬は必要か。症状を緩和する補助薬は必要か。悪さをしている薬を飲んでないか。服薬ミスをなくす工夫として何ができるか。

2つめは、フォーマルケアです。介護保険サービスなど、公的支援サービスを活用します。お薬以外の治療(非薬物療法)を期待できます。目標やルーティンがなく、昼は暇で寝てばかりというケースは、活力のきっかけになることも期待できます。ケアマネ、看護師、介護士などから有益な地域資源の情報が得られます。他の利用者さんやその家族と接することで、孤立感の緩和が期待できます。また、介護者が介護から解放される時間が生まれるため、介護者の燃え尽き予防につながります(レスパイトケア)。

3つめは、インフォーマルケアです。主な介護者であるご家族や、近所のご友人など公的でない身近な人々によるサポートです。身寄りがなく独居で、近所のお友達が通院サポートしているケースもあります。その中で、介護者が正しい知識をもち、うまく接することがとても重要です。例えば、子が親を看病する場合、今までの親子関係(親に接する姿勢)を見直す必要があるかもしれません。我がぶつかりやすいため、介護者側が「一歩引いて見守る技」を習得するとうまくいくと思います。よりよいケア環境を一緒に考えていきましょう。