脳卒中の再発予防

脳卒中学会総会2019がパシフィコ横浜で開催されました。脳卒中を発症してしまうと、多くの場合で後遺症を一生かかえていくことになります。その場合、リハビリや環境整備に加え、原因を明らかにして再発予防することが大切です。シンポジウムで、日本発の大規模研究の経過報告がありました。以下のような内容です。

・ESUS:脳梗塞の原因として、塞栓源がわからないものがあります。脳塞栓症による脳梗塞の原因としては、心房細動が有名です。しかし、ホルター心電図ではみつからずに、どこから飛んできたのか不明なものがあります。最近は、Reveal LINQという体内埋め込み式の心電図(3年胸部皮下に埋める)があり、発作性心房細動の発見率が高くなっています。再発予防として抗凝固薬を内服する場合は、心房細動がある場合にのみ使用したほうが今のところよいようです。

・CSPS.com:ラクナ梗塞やアテローム性脳梗塞になった場合、再発予防として抗血小板薬を1剤内服することは一般的です。本研究は、シロスタゾール(元祖プレタール)の2剤目としての上乗せ予防効果があるかどうかを調べています。シロスタゾールは、頭蓋内血管狭窄による梗塞予防や、脂質異常症の改善効果も報告されています。ハイリスク症例において、シロスタゾールを併用したほうが予後がよいようです。

・RESPECT study:脳梗塞・脳出血など卒中既往者において、目標とすべき血圧はどのくらいかを調べています。一般健常者では、140/90mmHg未満が望ましいとされています。但し、糖尿病・慢性腎臓病・心筋梗塞がある場合は、130/80mmHg未満を目標とします。本研究では、脳卒中既往者に関しても130/80mmHg未満を目指したほうがよいようです。