神経科医会の納涼会

横浜の神経科医会の納涼会がありました。たぐちクリニック田口博基先生に誘われ、初めて参加しました。

会では、横浜市大医学生時代にご指導いただいた、神経内科の長谷川修先生にも久しぶりにお会いしました。横浜市や神奈川県の脳神経診療のより良いシステムを目指し、皆で意見を出し合い、共有しました。とても有意義なお話を聞くことができました。

特に、脳卒中連携パスの現行の運用状況は改善すべきと感じました。脳卒中パスとは、地域ごとに連携システムが構築されています。脳卒中発症後に「救急病院での急性期治療とリハビリ→回復期リハビリ→かかりつけ医での維持リハビリと再発予防」へと、神経症状の随時評価・適切なリハビリ情報をバトンタッチしていくものです。しかし、救急病院→回復期リハビリへの連携は最近ようやく浸透してきましたが、回復期リハビリ→居宅でのリハビリ計画への移行がスムーズではないようです。今後、市・県で包括するような簡便なパスの構築と普及が必要となります。さらに、連携システムの浸透には、医師だけでなく、ケアマネージャーや訪問看護・リハビリ訓練士なども含めて、システムの理解と運用が必要となります。

会の直前に大雨に合い、お店に行く頃にはみな、びしょぬれでしたが、興味深い神経医療の意見交換ができ、有意義なひとときを過ごしました。

Gleneagles病院

オーストラリア留学時代お世話になったGP(総合診療医)の紹介で、Gleneagles病院を訪問しました。シンガポール植物園の隣に位置する三次救急病院です。シンガポールの医療は面白いシステムで、総合病院に医療テナントが付随して開業医が医療を行っています。ERに加え、様々な検査機器・手術設備も備わっています。開業医はそれらが必要な場合、病院のものを使用することができ、患者さんとしても便利に思います。MRIは、シーメンス社1.5Tが入っていました。

ベテラン神経内科医であるDr Yeoと1時間ほどシンガポールにおけるClinical Neurology脳神経診療についてお話させていただきました。Dr Yeoも、Gleneagles病院で開業しています。頭痛や脳卒中などの脳神経疾患をはじめ、GPならではの幅広い診療をされています。日本の開業医と異なり、多人種を診るため、疾患のバラエティーも多く、時にびっくりするような珍しい疾患に遭遇するとのことです。

同病院には、日本人専用のクリニックもあり、旅行者・留学者・駐在者など日本語診療を必要とする方を対象としています。シンガポールは日本人が多いため、ほかにも多くの日本語対応クリニックがあります。患者さんでシンガポールへ行かれる方もいらっしゃいますので、連携しながら安心できる医療サービスができればと思います。

病を力に

書道家の大矢豊苑先生より、「随縁」をいただきました。

「随縁」は禅語で、ひとつひとつの出会いを大切にする姿勢です。人は、とかく物や事に、善悪優劣などのレッテルを貼りがちですが、病気をはじめ様々な辛いことに対し、マイナスで取り組むのではなく、それをある意味「良いご縁」ととらえて取り組むことで、プラスな反作用をいただけるのではないかと思います。実際、脳卒中を受け入れた患者さんや、認知症の患者さんのケアに最期まで取り組んだご家族から、「辛いけれど、学ぶことも多かった」「逆境に自信がついた」などの心の変化を聞くこともあります。

「魔法の出会い」「如来の心」と、豊苑先生の解説付きです。すべての物事にはプラスに転換できるチャンスがある・いいことも悪いことも大自然の計らいであると意識することで、より生き生きと健康な生活を手に入れられるのではないかと、私も日々修行の毎日です。ありがとうございました。

江戸切子

常連の患者さんから、江戸切子をいただきました。涼を感じます。

行程には、高い集中力と巧緻性が必要なことと思います。外科医であれば、質の高い手術をされるのだろうと思います。

皆さんいろいろと一芸をお持ちで、こういった交流も、町医者の醍醐味だなあと感じています。ありがとうございます。

 

 

ラストサムライ

講演会で久しぶりに藤津先生にお会いしました。藤津和彦先生は、国立病院機構横浜医療センター脳神経外科を統括する指導者です。私の手術の基礎は藤津流であり、不屈に正確に目的を達する心構えを植え付けていただきました。10-20年前は、血管内手術や放射線治療・化学療法・内視鏡の技術は、今のように充実していない時代で、あくまでもマイクロサージェリーで脳幹部であれ頭蓋底であれ、日をまたいで手術をしていました。高度な顕微鏡手術技術を有し、現在の脳神経外科学の基礎をつくられた1人です。

テクノロジーの進歩により、現在の脳神経外科治療方法は多岐にわたります。一方で、藤津先生のように顕微鏡手術で数多くの難症例を経験できる脳外科医は少なくなっており、まさにラストサムライではないかと思います。教えられた精神は、医療者としての根源を作るものであり、大切にしていきたいと思います。

国立病院横浜医療センターは、戸塚で降りてバスで原宿の交差点付近です。高難易度手術症例のケースは、是非ご相談したいと思います。

山本哲哉 新教授

第4代 横浜市立大学脳神経外科教室 教授に就任された、山本哲哉先生の講演会がありました。多くの医局員・同門会員が参集しました。とても柔和で、各医員の個性を見極めて伸ばしていただけると思います。領域は幅広く専門とされておりますが、特に小児脳腫瘍は国内トップクラスです。福浦本院も新体制で力をつけてきており、ほかにもグリオーマをはじめとした悪性脳腫瘍や、脊髄病変は、神奈川県でも中核です。当院からも是非相談し、連携を密にしていきたいと思います。

写真は、左から、私・山本教授・南共済脳神経外科部長浅田先生です。複数の医局員より、雰囲気が似ているとあったので、並んで撮ってみました。お二人とも、ずっとさわやかです。失礼いたしました。

神奈川認知症フォーラム

神奈川認知症フォーラムで講演させていただきました。認知症診療に注力されている精神科・脳神経外科の先生方と、有意義なお話ができました。

自分の講演では、開業半年間での「物忘れ外来」の統計、認知症診療におけるMRIの有用性につきお話させていただきました。

北村ゆり先生の前頭葉症状のお話はとても勉強になりました。前頭葉は、運動や言語をつかさどる部分と、その前方にある前頭前野に分けられます。前頭前野の機能障害はアルツハイマー型認知症では多く見られ、がまんができない・うつ症状・無気力・情緒不安定・計画実行機能障害・注意障害などがあります。同じことを尋ねる・話すなどの短期記憶障害よりも、介護者負担を増やすものです。これらの症状を見極めて対応することで、患者さんも介護者も充実した「認知症生活」を送ることができると感じます。

群発頭痛とその類縁疾患

突然重度の頭痛が連日性に繰り返す場合、群発頭痛かもしれません。群発頭痛は、片方の目や側頭部に限局し、夜を中心とした決まった時間に発生します。視床下部の体内時計にその発生源があると考えられており、その時間的正確さを裏付けていると思います。一般的に、頭部自律神経症状を伴うとありますが、自覚されない場合もあり、注意が必要です。毎夜繰り返し起きるため、睡眠不足となり生活支障度は高いです。

群発頭痛は、三叉神経自律神経性頭痛TACsのくくりに入っており、持続時間によって、片側頭痛やSUNCT/SUNA(サンクトスナ)と疾患名が変わります。背景にあるメカニズムも異なると考えられており、治療薬も異なります。

また、診察時に群発頭痛と思った方でも、MRIで二次性頭痛であったケースも多々あります。怖いものでは、椎骨動脈解離・脳動脈瘤切迫破裂(特にICPC)があります。椎骨動脈解離は、片側後頭部の持続痛と思われがちですが、側頭部に放散する場合もあります。他にも、副鼻腔炎・一次性穿刺様頭痛・緑内障・内頚動脈海綿静脈洞瘻・三叉神経痛などがあり、それぞれ対応が変わります。SUNCT/SUNAは三叉神経に腫瘍があったり血管圧迫があったりとの報告もあり、精査が勧められます。一般的には三叉神経痛といえば「典型的三叉神経痛」を指します。頬や歯に発作性の痛みがあり、歯磨きなどで痛みが誘発されるトリガーがあり、痛み発作の後に痛みが誘発されないフェーズがあるなどの特徴がありますが、SUNCT/SUNAは眼周囲の三叉神経痛の可能性もあるのではと思います。

TACsはそれぞれ予防薬・頓用方法が変わります。酸素が有効な場合もあります。一旦収まっても忘れたころにまたやってきますので、お気軽にご相談ください。

効果的な認知症ケア

ノバルティスファーマ主催、脳神経外科認知症カンファランスがありました。脳神経外科で認知症診療に注力する先生方が集まり、意見交換しました。

朝田隆先生のお話で、患者さんができないことを詳細に観察し、できない要素を見つけることが効率的なケアに重要とありました。トイレができない、歯磨きができないなどの生活動作の障害をよく観察することで、できない部分を抽出することが重要です。例えば歯磨きができない時、場所がわからない・歯磨きの扱い方がわからない・口をゆすげない・歯ブラシの場所がわからない・それらの順番がわからない・・・などの要素に分け、できないところを見分けてアプローチすることで、一連の行為ができるようになります。お薬調整以上のテーラーメイドケアだと感じます。

また、会には脳腫瘍のレジェンド、現在では認知症のスペシャリストである堀智勝先生もいらっしゃいました。以前手術に専念していた時には、壇上の雲の上の存在でしたが、身近にいろいろお話ができてよかったです。

Bill Evans

ある患者さんから、Bill Evansの貴重なライブDVDをいただきました。患者さんには、ジャズ愛好家や、ピアニストも多くいらっしゃいます。私も、腕はさておき、40年近くピアノを続けていまして、診療中に雑談で盛り上がったりします。

Bill Evansは、1960-1970年代に活躍したジャズピアニストで、独特な哀愁ただよう日本人好みの演奏をします。当時は、バップからモードへの転換期でいろいろな技法が試された時代で、Miles Davisバンドにも参加して名演を残しています。3,7,9,13やクラスターなどの独特の和声、頻繁なリハモ、多様なスケール、シンコペーションが印象的です。彼の演奏技法は、ジャズ理論を大きく前進させ、またその後の多くの演奏家に多大な影響を与えました。

写真の演奏は、ビルエバンスが50歳でなくなる1年前のもので、数少ないカラーのライブ映像です。髭の時代といわれます。演奏する手は、肝機能障害の影響と思われるむくみが強いですが、演奏の切れは抜群で、トークにも配慮している様子が伺えます。その1年後にライブ活動中に亡くなるまで、死を覚悟しながらも演奏を精力的に続けている姿もまた、惹かれます。