認知症-保土ヶ谷区市民公開講座

保土ヶ谷区医師会主催の市民公開講座がありました。今回は、認知症がテーマで、「認知症になっても住み慣れた街で」と題して、保土ヶ谷区で認知症診療に携わる先生方とパネルディスカッションをいたしました。

前半:日暮の方から、認知症の一般的な事項について、広くやや深く講演をさせていただきました。講演内容は以下の内容です。
・認知症の種類とstage(正常~MCI~認知症)
治せる認知障害は治す=二次性認知症
・アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・高齢者てんかん
・介護保険サービスによる非薬物療法
家族など介護者のかかわり方:パーソンセンタードケア

後半:パネルディスカッション
進行:診療所スカイ 鈴木元晴先生
パネリスト:港北病院 山口哲顕先生・浅野医院 黒田理佐先生・ゆう在宅クリニック 三條博之先生 ほどがや脳神経外科クリニック 日暮雅一先生
【徘徊への対応】
・平穏に安全に過ごせることが大切で、その方法を模索する。病院との連携やグループホームの活用も検討
・徘徊の原因を探る 原因に合った対応を 徘徊を止める薬はないのでまずは薬ではなく対応を考慮する

【周囲が受診の必要性を感じていても本人が受診したがらない場合】
・機を待つことも必要
・在宅医の場合 認知症以外の体調不良な部分からアプローチして関係性を作る
・通院の場合 脳梗塞のチェックをしましょうなど認知症と言わず脳の健診と声掛けする
・在宅で訪問を拒否する場合 家族とよく相談して意向を確認しながら進めていく

【家族も本人も受診の必要性を感じてない場合】
・受診しなくてはいけないわけじゃないと肩の力を抜いて考えながら機を待つ

【介護者の気持ちのコントロールについて(つい怒ってしまう)】
・一生懸命介護しているからこそストレスがたまるので介護者を援助する体制が必要 (相談相手・デイやショートの利用など)
頑張りすぎない介護をめざす

【同じ食材を毎回購入し家に物があふれてしまう人への対応】
・介護サービスを活用し一緒に買い物したり片付けたりする
・なぜ買いたいのか原因を探る
・このような独居の人を地域がどこまで受け入れられるか その地域の環境にもよる

【車で迷子になり、免許返納させたいが本人が運転に拘っている どうすればいいか】
・免許証は本人のステータスなので返納を敗北ととらえる可能性あり 返納はしないけど車に乗らないとする
・運転は「卒業」と前向きにとらえる
・キーを回してもエンジンがかからない様に設定して、そのうちあきらめてもらう

【認知症になりにくい食べ物】
・運動と社会参加が大切
・地中海料理がおすすめ サプリは好みの問題 生活習慣病の予防が認知症予防につながる

【家族が薬を飲ませたがらない】
・命に関わらない薬は止めるよう調整可能

【デイやショートなど介護負担軽減のために計画するがデイ等に行ってる間心配でかえって休めない家族への対応】
・介護者が疲れていると良い介護ができない 自分のためではなく優しく介護するために一息ついて欲しいと伝える

直接意見交換ができ、とても有意義な会で多く勉強させていただきました。これからも保土ヶ谷区チーム医療で「中等度認知症の身寄りなし独居」をどこまでサポートできるか頑張ってまいりたいと思います。

参加者集合写真:左より、診療所スカイ/鈴木元晴先生 浅野医院/黒田理佐先生 私 港北病院/山口哲顕先生 ゆう在宅クリニック/三條博之先生 清水医院/清水哲平先生(今回の企画)。

エムガルティupdateー付加給付制度

日本イーライリリー株式会社主催 全国配信の第4回 Emgality Summer Web Seriesがありました。聖マリアンナ医科大学 内科学(脳神経内科)教授 秋山久尚先生より、「片頭痛患者の日常生活の支障はどう変わったか?~1 year CGRP Clinical Experience~」のご講演をいただきました。

エムガルティが発売されて1年4か月が経過しました。従来予防薬と比べ、毎日内服する煩雑性はなく、即効性と有効性はより期待できます、反復性片頭痛(慢性頭痛の治療ガイドライン2021では月3回の発作から使用可能)や慢性片頭痛・薬物乱用頭痛にはよい適応となります。片頭痛は少しずつ頻度が上昇することがあり、慢性化に至ってしまうと、頓用薬が効きにくくなってしまいます。また、その後の人生においても頭痛に煩わされる可能性が高くなります。そこで、頻度上昇している局面においてエムガルティを導入して軽減化を図ることは有効という考えがあります(early intervention)。受験・就職・転職などのライフイベントでストレスが増えたり、閉経・台風・コロナ感染/ワクチン接種などをきっかけに慢性化することがあるので、導入のタイミングとして検討するとよいかもしれません。Galcanezumab 120 or 240 mg given once monthly was efficacious, safe, and well tolerated.  (EVOLVE-2 Phase 3 RCT. Cephalalgia. 2018 Jul;38(8):1442-1454)

今年の6月から、在宅自己注射が可能となりました。こちらに関しては、自分で打つことに抵抗がなければメリットは多いかもしれません。3本まで処方ができるので、来院頻度を下げることができます。また、自身の医療保険の種類によりますが、以下に示した付加給付制度が得られる場合があります。

 

片頭痛克服に大切「我慢の楔」解放

第一三共株式会社主催 片頭痛治療 Frontier Web セミナーがありました。医療者間の勉強会は多いですが、一般の方々が視れないので、当ブログで私の感じた要点を啓発しています。今回はいつもお世話になっている横浜市内の同業先輩である、子安英樹先生と矢崎弘人先生座長のもと、小生から前座として当院における片頭痛診療の現況報告をさせていただきました。頭痛学師範 間中信也先生より、「頭痛診療のファーストステップ~片頭痛患者さんを我慢の楔から解放できるか~」の特別講演を拝聴させていただきました。

「我慢の楔」は間中先生の言葉で、片頭痛患者さんおよび頭痛治療医において十分理解することは治療成功のためにとても大切な概念です。片頭痛患者さんは、初期段階ではドラッグストアなどの頭痛市販薬でその都度対応していきます。全員ではありませんが、経過が長くなってくると頭痛薬内服頻度が増えて常態化しても違和感を感じなくなります。気づけば頭痛薬内服が日課となってしまいます(三叉神経・血管に火事が起きては消化してが毎日おこっている状態)。この状態は、自律神経系が非常に脆弱な状態となりますので、社会適応能力も低下します(踏ん張りがきかない 作業効率が悪くなる)。つまり、頭痛があることは当たり前と諦め、困難や課題へのチャレンジにも消極的になります。間中先生より拝受したスライドを以下に示します(このスライドは以前から気になっていた私にとっての宝スライドです)。

生き物は、あらゆる局面においてこのような「学習性無力感」が発生しやすいものと考えられます。この「拘束」という精神的諦めを見直して楔を解除することにより片頭痛からの自由自在を獲得することができるというわけです。

片頭痛患者さんは、ある時、対処不能な重度な片頭痛に襲われる、あるいはふと自分を客観視した時に、「これはまずい」と気づき、頭痛外来を受診します。そこで初めて頭痛克服のノウハウ(拘束解除のノウハウ)を知ることになります。急性期治療薬トリプタンやラスミジタン、発症抑制薬各種や抗CGRP関連抗体薬など。それにより、人生の見え方が変わり、困難へのチャレンジに対して積極的になっていくものと考えられます。

 

新しい片頭痛治療薬レイボー/エムガルティ

戸塚区医師会 日本イーライリリー株式会社 第一三共株式会社主催で、片頭痛フォーラムがありました。今回は東戸塚・戸塚と近隣の脳神経外科クリニックの先輩方座長のもと、前座として小生からCGRP薬の使用状況を報告させていただき、頭痛診療における日本の中枢のひとつである大阪の富永病院から、頭痛センター副センター長 團野大介先生より最新の頭痛診療エビデンスのご講演をいただきました。

以下、新たに提示されたポイントをいくつか紹介いたします。

レイボー(ラスミジタン)について:レイボーは痛いときにのむ頓用薬です。三叉神経終末のセロトニン5HT1F受容体を刺激してCGRPの分泌を抑制して頭痛を改善します。内服して30分から効果が出現し、2時間後に頭痛を消失させ、24時間と長い間効果が持続します。血液脳関門BBBを通過しやすいため、トリプタンと比べて内服するタイミングが遅れても効果を発揮します。朝起きて片頭痛が強度でも内服して改善する声を患者さんから耳にします。一方、ふらつき・ねむけ・めまいが発生しやすいため、初回から慣れるまでは、夕方から夜・休日にトライすることがすすめられます。これらの副作用は数回重ねることで慣れる傾向があります。体質にあってうまく使えれば大きな味方となりそうです。

昨年発売されたエムガルティ(ガルカネツマブ)を機に、大学病院など大きな病院でも「頭痛外来」が開設されはじめているようです。片頭痛の生活支障や経済損失の大きさが認識され、メディアでも取り上げられる機会が増えているようです。抗CGRP関連抗体薬は、約半数の患者さんで発作日数が半減、10-20%で完全に消失するケースがあります。特に、薬物乱用頭痛症例においてはよい適応となり、頓用薬の内服を我慢せずとも軽快していきます。頭痛が消失した症例で抗CGRP関連抗体薬を中断してもその後再発してこないケースもあります(卒薬)。注射で改善して定期継続している患者さんのうち10%弱は、初回効果が減弱するケースがありますが、投薬前に比べれば大きく改善しているようです。現在までのところ、当院でも169例に使用しており、その効果を多くの患者さんが享受されております。

旧「東海横浜strokeカンファランス」再来

大塚製薬主催 片頭痛診療のこれからを考える in 神奈川 がありました。頭痛に限らず、脳卒中・認知症などの幅広い神経内科疾患の日本のトップリーダーである橋本洋一郎先生に、熊本からWEB講演をいただきました。座長は横浜市内でご活躍されている脳神経外科の頭痛専門医の先生方でした。地域からの発信として小生から、アジョビ(フレマネズマブ)を中心に、抗CGRP関連薬の処方に必要な医師側のチェックポイントなどをお話させていただきました。

古市晋先生は、あざみ野駅前で開業されているとても穏やかな同業先輩です。田口博基先生ほか数名の脳外科開業医で医療や経営などに関する情報交換会を定期的にしておりましたが、コロナ禍でなかなかお会いできなかったので久しぶりにお会いできてよかったです。

橋本洋一郎先生とのなれそめは古く、小生が脳神経外科専門医になりたての31歳のころ、年間手術件数150件ある小田原市立病院で、医局人員不足で孤軍奮闘した辛い時期がありました。当時「東海横浜strokeカンファランス」という、橋本洋一郎先生と田口博基先生が立ち上げた脳卒中について語り合う会とご縁がありました。静岡・神奈川の脳卒中に携わる脳神経系の先生がたがあつまり、深夜まで飲んでた記憶があります。今回の小生の講演がおわり、橋本先生の特別講演の冒頭で、「久しぶりに日暮節が聞けて楽しかった。愚痴なくおちついちゃってるのがちょっとさびしかったですが、」という当時の自分を彷彿とさせる愛のあるコメントいただけたことがうれしいかったです(;’∀’)

橋本洋一郎先生からは、改めてご講演ご教授いただきました。田口先生と橋本先生の、座長演者掛け合いなども久しぶりに堪能させていただきました。田口先生は座長うまいなーと感服した次第です。さて、橋本先生から拝受したスライドの中でも、患者さんにも了解可能な内容をいくつか添付いたしました。地域医療はどうあるべきか、医療連携はどうあるべきか、新薬はどう扱うべきかなど、常に専門家同士で議論を重ね、前例・答えのない問題に取り組み、よりよい医療をみなさんに提供できるように精進をつづけています。

ヘンズツウかるた

日本イーライリリー株式会社 第一三共株式会社 主催で、片頭痛WEBセミナー in Kanagawaがありました。今年の第50回 日本頭痛学会総会 会長である 富士通クリニック 五十嵐久佳先生より、「片頭痛診療におけるチーム医療の重要性と構築のコツ~エムガルティの登場を機にチーム医療の重要性を再考する~」と題して、ご講演いただきました。

片頭痛患者さんは、健康寿命およびQOLは高度に阻害されていることが知られています(慢性頭痛GL2021 Grade A)。10歳~60歳においては、疾病負担の最も高い神経疾患が片頭痛です。片頭痛のために休むこともありabsentismと、出勤中の作業集中困難による支障度presentismもWPAI-Mスコアで高いことが示されています。子育て主婦や、家族余暇の阻害はつらいですよね。

慢性疾患のなかでも、生活習慣病は将来の卒中などに配慮して管理される一方で、片頭痛は怖い疾患を引き起こすことは少ないものの「今痛い」にフォーカスをあてて苦悩を取り去ることが治療の中心です。実際は、受診をしても適切な診断や管理をされず難民化してドクターショッピングを繰り返すかたが多くいるようです。頭痛外来を標榜していても、MRIとって異常なければ緊張型頭痛と診断してNSAIDSでフォローなしとする医療機関も多いと聞きます。五十嵐先生の初診データからは、実に男性の55.3% 女性の67.1%は片頭痛ありなのです。医師だけでなく、スタッフや薬剤師含め、頭痛診療に詳しくなって正確な診断・アドバイスを補完しあうことがチームとして診療の質を向上するうえで重要です。もちろん医師の基本姿勢としては、患者さんによりそい一緒に問題を解決していく姿勢が大切であると思いました。

記念撮影:患者さんをいつも診ている診察室で、WEBを通してきれいなお着物で登壇された五十嵐先生をお迎えして、情報交換や講演を聞けたのはとても貴重な時間でした。

CGRP関連抗体薬についてもお話いただきました。長く頭痛や周辺症状に悩まされていた患者さんは、頭痛が減るに加えスッキリするので逆にびっくりします。医師側としては、導入の際に、片頭痛の診断→支障度評価→治療ゴール設定とダイアリー確認と段取りを経る必要があります。また、頭痛医の対応の中で、患者さんの評価が高い項目は、「日常生活への影響を聞かれた」点が満足度が高いアンケート結果が示されました。

さらに、ヘンズツウかるたをお示しくださいました。片頭痛の複雑なあれこれをかるたで学ぶツールで、楽しく学べる、職場や学校でも楽しく理解できる斬新なツールと思います。待合に置きますので手に取ってみてください。また、ヘンズツウかるたの特設ホームページもございます。

https://www.henzutsu-karuta.jp/

アルツハイマー啓発フェス in 藤沢

アルツハイマーUKフェスが藤沢でありました。湘南エリアを中心に、認知症診療・啓発活動に注力している内門大丈先生主催で、当院も協賛させていただいております。今回のコンセプトは、「認知症の共生と予防について語り合う音楽フェス」で、認知症当事者や、福祉関係者・医療関係者が集い、音楽を聴きながら情報交換し、語り合う良い機会でした。認知症の患者さんたちも楽しく合唱し、その一生懸命さに感動しました。さくらコミュニティーケアサービス 代表取締役 稲田秀樹さんによるフォーク演奏。主催された内門先生。今回は、平塚に新規開業された、メモリーケアクリニック湘南の開業祝も時期的に含まれました。多くのわかりやすい本を書かれており、当院にもバイブルとして待合においてますので、是非お気軽に見てみてください。

東京慈恵会医科大学精神科主任教授 繁田雅弘先生からのコメント。平塚出身で日本の認知症診療を牽引するリーダーです。平塚の自宅を、認知症カフェとして改装し、栄寿庵として情報発信されています。また、メモリーケアクリニック湘南にもサポートに行かれております。開業したてで、じっくりスーパーエキスパートとお話しできる機会はそう長くはないので、ご興味あれば是非!最後に、内門先生作詞した「バースデー」をみなで合唱しました(^^♪

日々の暮らしの中で
君と出会い別れていくよ
ありきたりの日常が
とても大切だったと気づかない
人は生まれて
人と出会い別れていくよ
今日はとても大切な日
みんなの出会いを祝福したい
みんなが出会うバースデー
そして今日が大切だったと
この記憶をかみしめたい
いつか君と別れて
違う道へと進んでいても
大切な今日この日を
決して忘れることなどない
未来に向かうバースデー
そして今日が大切だったと
この記憶をかみしめたい
ララララ ララララ
ラララ ラララ ラララララ(2回)
人は生まれて
人との出会いで生きていけるよ

アジョビ(フレマネズマブ)Up to Date

大塚製薬主催 横浜脳神経外科研究会後援で、Headache Seminarが開催されました。頭痛診療において、昨年登場した抗CGRP関連製剤3剤の勉強会が多く、頭痛のアップが多くなっております。北久里浜脳神経外科院長の山下晃平先生オープニング、横浜市立大学脳神経外科教授 山本哲哉先生 総合司会、湘南鎌倉総合病院脳神経外科主任部長 権藤学司先生 クロージングで、アジョビ(フレマネズマブ)の実臨床における情報交換を行いました。

前座として、小生の方から「実臨床における頭痛診療のコツ~アジョビの使用経験も踏まえ~」と題して、当院で注意している診療や、経験した報告に関してお話させていただきました。片頭痛の年間有病率は8.4%といわれ、単純計算では横浜市には推定30万人の片頭痛患者がいると考えられます。当院では、開院5.5年目で、約5-6千人の片頭痛診断をうけた患者さんを拝見しております。多くはセルフケアですが、従来予防薬で定期通院の患者さんがいらっしゃいます。全体の2%の124例に、抗CGRP関連製剤を使用している現状です。高頻度反復性片頭痛や慢性片頭痛の患者さんは、1回でも大きく支障度が改善し、2回3回と重ねるうちにさらに改善が得られる傾向がみられました(下図)。続いて、3人の頭痛診療の専門家に、各テーマでパネルディスカッションをいただきました。

まず、脳外科頭痛専門医 堀田和子先生から、「誰にどのように紹介している」のご意見をいただけました。湘南鎌倉病院に頭痛サロンを形成し、ゆっくりコミュニケーションをするスタイルです。片頭痛の発作が5-10回の幅で、アジョビを提案しているとのことです。間中先生に手ほどきをうけており、アジョビによりcrystalclearの日常へ導いておられます。

続いて、小生の脳外クリニックの恩師であるたぐち脳神経クリニック院長 田口博基先生より、「いつまでうつの?」に関して、論文からひも解いていただきました。3-6か月は改善底をみるために継続したほうがよい。他剤へのスイッチ・期間延長・スポット使用もあり。中断して再増悪しても、再開でよくなるようです。また、コロナワクチン・感染や、気候変動に敏感なケースは、治療をうけていても増悪するようです。

最後に、同門先輩である、金沢文庫のこじま内科・脳神経外科クリニック院長 小嶋康弘先生より、「3剤あるけと何使う?」のご意見を伺いました。アジョビ・エムガルティを1stで使い、痛みや効果がいまいちな場合、アイモビーグへスイッチしているようです。アイモビーグはやはり痛くないのがポイントです。またクリニックでは、診療単価上昇が迫っており、在宅自己注射への移行もされているとのことです。super responder(ほぼ消失する症例)のケースも1年程度をめどに漸減しているとのことでした。

(会終了時の記念撮影 右より、山下先生 山本先生 堀田先生 私 小嶋先生 権藤先生 田口先生 ):oppo

最後に、小生の今回のスライドを提示します。参考にしていただけたら幸いです。(上段)アジョビ接種後のHIT6変化量(箱ひげ図)3回目までブースター効果がある。(中段)頭痛学会HPのE-lerning 頭痛の最新情報の内容が閲覧できます。施設名は、職場や「ほどがや脳神経外科クリニック」として閲覧できます。ご興味あれば是非。(下段)因縁の法則を頭痛診療でみてみました。良縁となる医師であるように努力をしないとと思います。(我慢の楔=間中信也先生の用語で、頭痛があることを常として我慢し続けるburdenを背負っている状態を当たり前とあきらめている状態)

アイモビーグ(エレヌマブ)患者さん目線の片頭痛治療 Up to Date

アムジェン株式会社主催の、アイモビーグ(エレヌマブ)患者さん目線の片頭痛治療 Up to Date がありました。アイモビーグは、昨年登場した3つのCGRP関連製剤の一つですが、他の2剤と異なり、CGRP受容体に対する抗体製剤です。注射時の痛みも少なく、のちのち在宅で使用可能となる予定の製剤です。

今回は、日本頭痛診療のスーパーエキスパートが多数集まり、全国の医師へM3配信される私なんかが話してよいのかと恐縮してしまう大きな会でした。とても貴重な会で20分の講演をさせていただきました。座長は、前半がテレビでも着物でおなじみの 富士通クリニック/東京クリニック頭痛外来の五十嵐久佳先生(日本頭痛学会理事)、後半が湘南慶育病院副院長/脳神経センター長 寺山靖夫先生(日本頭痛学会理事 教育関連委員会委員長)、クロージングが恩師 間中信也先生というラインナップでした。

冒頭の講演が、聖マリアンナ医科大学病院内科学(脳神経内科)教授 秋山久尚先生(日本頭痛学会代議員)という設定(*_*)。秋山先生からは、片頭痛の支障度が大きいことと、経済損失についてお話がありました。2005年の京都頭痛宣言にて、片頭痛に関わる日本の経済損失が2880億円と示されました。医療費に関わる直接経費+仕事支障に関わる間接経費に加え、金銭に代えがたい損失(家族団らんや余暇の支障)が示されました。

湘南鎌倉病院の堀田和子先生からは、「頭痛は愁訴ではなく疾患である」というお話が印象的でした。問診票だけでなく本人の所作や表現から診る、頭痛ダイアリーの赤ペン先生などのアイデアを教えていただきました。

えびな脳神経クリニックの岩田智則先生は、脳卒中の分野でもご高名な先生で、頭痛診療においては、支障度を客観視するHIT6 MIDAS MSQを大切にして診療していると伺い、当院でも参考にしたいと思いました。

私からは、いつもの頭痛診療5ステップと、アイモビーグの有効性、より多くの頭痛診療医がCGRP製剤を自信もって使えるように、特に脳神経外科キャリアパスで重視すべきであることなどをお話させていただきました。

(会終了時の記念撮影:私をのぞいた右から、五十嵐先生 間中先生 寺山先生 秋山先生 堀田先生 岩田先生)

4月を迎え代診人事の変更について

4月の人事の時期を迎え、当院の代診の先生方の一部変更があります。

●当医局から聖マリアンナ医科大学脳神経外科主任教授に就任された、村田英俊先生より、代診のサポートをいただけることとのなりました。5月から月1金曜日の午前または午後となります。詳細は、代診ページもしくは電話にてご確認ください。主にしびれ外来・脊椎脊髄外科を診ていただきたいと思っておりますが、開頭マイクロ手術全般的に安定した先生ですので、ご相談したいと思います。

●慈恵医大付属病院脳神経外科講師/脊椎脊髄センター長 大橋洋輝先生より、しびれ外来(脊椎脊髄末梢神経)サポートを頂けることとなりました。脳神経外科東横浜病院でも手術をされており、治療相談をさせていただきます。5月から月1回金曜日午前となります。詳細は、代診ページもしくは電話にてご確認ください。

●長く当院で、てんかん・ふるえ外来を担当していただけた、東島威史先生。このたび、横須賀うわまち病院での同領域立ち上げのため異動されました。市大センター病院の機能外科には定期的にサポートにこられるとのことで、脳神経外科領域で今後伸びていく領域の期待のホープです。また機会があればお願いしたいと思います。

●東島先生の枠(市大センター病院連携枠)は、新たに高木良介先生が来てくれることになりました。横浜市の脳神経外科領域において、水のトラブルに注力される先生や施設は限られます。高木先生は、水はけがわるくなる病気(正常圧水頭症+付随する認知症)と、水漏れが過ぎてしまう病気(低随液圧症候群=髄液減少症+付随する頭痛)に関して知恵をお借りしたいと思います。

●第2水曜日午後の大島聡人先生(引き続き火曜日午後)枠は、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)でてんかん外科を修練された高山裕太郎先生が来ていただけます。市大ラグビー部の後輩でもあり、私が医局長のときに勧誘して入局してくれた先生で、池谷先生とともにてんかん診療・てんかん難民(適切な評価・治療をうけておらず漫然と古い抗てんかん薬を処方され続けている方々)を助けてもらいます。

●山本教授、佐藤充医局長(脊椎脊髄・頭蓋底内視鏡)、高瀬創先生(しびれ外来+次世代臨床研究)、山田幸子先生(もの忘れ外来+頭痛専門医修練中)、郭彰吾先生(脳卒中エキスパート+保土ヶ谷地区緊急相談)、大島聡人先生(大学院で脳腫瘍研究中+頭痛専門医修練中)には、引き続きサポートいただけます。