TOPへTOPへ

こどもの頭痛

こどもの頭痛について

当院頭痛外来には、お子様の頭痛(20歳未満)の来院も多くあります。
幼児期から頭痛を訴えるお子様がいらっしゃいますが、こどもは必ずしも「頭が痛い」と表現するとは限りません。たとえば、片頭痛がおきたとき、よく見られるのは、いつもは元気なのに黙りがちになる、光や音といった刺激を避けるために暗く静かな部屋にこもりがちになる、食欲がないといった行動です。このページでは、こどもの頭痛について、頭痛のタイプと特徴、保護者や学校関係者の方に知っておいていただきたいポイントを解説します。


こどもの頭痛の原因

一般的に、こどもの頭痛の場合、大きな仕訳として以下のものがあります。不明な場合は、ご相談ください。

全身感染症後・髄膜炎・脳炎

これら感染症は、まぶしい・吐いてしまう・首の後ろが痛いなどに加え、意識障害や麻痺などの神経障害が出る場合があります。疑わしい場合は、速やかに受診してください。コロナウイルス感染後に頭痛が増悪あるいは頭痛持ちになるケースもあります。

副鼻腔炎

副鼻腔炎(蓄膿症)が原因となることもあります。経過の長い咳や頭痛がある場合は、副鼻腔炎の可能性も考える必要があります。かぜが先行してしばらくして頭痛になった場合、鑑別候補にあがります。

頭部外傷

頭部外傷は、意識障害を伴わないような軽い打撲などが頻度高いです。ぶつけてしばらく大丈夫だったけれど、数日たってから痛くなるというのが多いと思います。意識障害を伴わない脳震盪症候群もありますので、ご相談ください。

頭部外傷


こどもの頭痛(徐々に痛みが強くなる場合)

徐々に増悪する頭痛の場合は、器質的疾患を除外する必要があります。例えば、脳腫瘍・脳動静脈奇形・血管腫・もやもや病などです。MRIでいずれも判別できます。治療が必要となることが多いですが、各疾患の治療法は熟達した知識・技術が必要です。該当してしまった場合、それぞれのエキスパート医師を紹介します。当院ではMRI検査が可能です。また、すべての医師がそれらの治療を経験しておりますので、まずはしっかりとした判別のために検査を受けてみましょう。


こどもの片頭痛

上のものに該当しない場合、2つの頭痛が多いと思います。ひとつは、片頭痛です。お母さんや兄弟にも発作性の頭痛が認められる場合、片頭痛で間違いないと思います。生理がはじまる頃くらいに、症状が出現してきます。生理痛と思われ放置され、我慢している場合があります。ひどく痛がるので、学校で何かストレスがあるのではないかと短絡的に結論付けられる場合があり、注意が必要です。片頭痛の場合は、頭の前側から側面にかけて(前頭側頭部)痛みが生じることが多く、大人では1時間~72時間(3日)程度、ズキン・ズキンと脈打つような痛みが続くことが特徴ですが、こどもの場合はより短い場合が一般的です。こどもが片頭痛ではないかと思った際、アセトアミノフェンやイブプロフェンの薬を頭痛が始まってすぐに飲むと良いでしょう。こどもの場合、周期性症候群といった(腹部片頭痛や周期性嘔吐症)自家中毒に類似した病態を呈し、のちのち前額部の頭痛に移行していく場合があります。

薬物乱用頭痛


こどもの慢性緊張型頭痛

こどもの慢性緊張型頭痛は、メンタル的アプローチが必要です。朝起きられない、夜中までスマホやゲームをしている、連日性に頭痛があり、しばしば学校を休むようになります。昼になると調子が良くなって学校にいけるなどが特徴です。また、起立性調節障害や不眠などの自律神経の異常を伴うことが多く、早めのしっかりした対応が必要になります。起立性調節障害の場合は、体内時計が後退しているため、数か月の単位で直す必要があります。適応障害性などのメンタルに原因がある場合は、外因の調整で早期に改善する場合があります。発達特性などが関与している場合もありますので、各専門家と相談していく必要があります。簡単にいうと、21時以降は画面を見ない・社会的起床時間には日光をあびる(少しずつ明るくなる電気などもありますし、リビングなど遮光カーテンのない部屋で寝ることも必要です。)起床後は急に立ち上がらない(心臓と脳の落差をつくらない)ことが重要で、楽な姿勢で時間をかけて準備をしましょう。

スマホ頭痛


片頭痛は吐き気・腹痛を伴う?

親御さんが片頭痛もちの場合、お子様の頭痛ではなく、反復性嘔吐や腹痛で始まる場合もあります(上記)。胃腸炎もしくは異常がない、ストレス反応などの診断で、行き詰っている場面にもよく遭遇します。これは、片頭痛と同じメカニズムが腹部におこっていると考えられており、migraine equivalentとよばれています。ほかにも、発作性めまいなど、頭痛とは関係ない症状が、根源で同一メカニズムから発生している場合があります。