- てんかんについて
- てんかんの原因
- てんかんの分類
- てんかんの種類
- てんかん重積状態とは
- てんかんの検査・診断
- てんかんの治療
- てんかんと運転免許の取得・更新
- てんかんと妊娠
- てんかん患者が利用できる制度について
てんかん外来(不随意運動)の担当医
- 池谷医師
- 園田医師
- 東島医師
※継続管理はすべての医師で対応可能です
てんかんについて
てんかんとは、一時的に脳が過剰に興奮することで意識を失ったりけいれんを生じたりする「てんかん発作」を繰り返し起こす脳の疾患です。てんかんは、年齢や性別に関わらず、誰にでも発症することがある疾患で、生涯でを経験する人は人口の10%程度いるとされています。ただし、てんかん発作を繰り返し起こし、「てんかん」と診断される人は人口の約1%であるとされています。てんかんは、発症する年齢や病変となる脳の部位によって、それぞれ特有の発作がみられます。てんかんは成長とともに治ることもありますが、多くの場合で継続した治療が必要になります。
てんかんの原因
てんかんは、原因によって「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分類されます。
特発性てんかん
特発性てんかんとは、検査をしても異常が見つからず、原因が不明とされるてんかんのことです。てんかんの多くは遺伝しないと考えられていますが、一部の特発性てんかんでは、てんかんを起こしやすい傾向が遺伝する可能性が指摘されています。てんかん患者の多くは、原因が特定できない、特発性てんかんであると診断されています。
症候性てんかん
症候性てんかんとは、脳炎や髄膜炎、脳外傷、脳梗塞などによって脳に障害を受けたことが原因で、てんかん発作を起こすてんかんのことです。
てんかんの分類
てんかんは、脳に過剰な電気的な興奮が起こることで発症します。てんかんは脳の電気的な興奮の広がり方によって、「部分発作(焦点性てんかん)」と「全般発作」の2種類に分けられます。また、原因となる病変の有無によって「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分けられます。さらに、意識障害の有無や発作時の症状、発症年齢などによって細かく分類されます。なお、てんかんを明確に分類することが難しく、分類不能となることもあります。院長の弟である、武蔵小杉小児科てんかんクリニック院長 日暮憲道先生のかかわったILAE国際分類日本語版第6版に、詳細がありますので以下クリック参照ください。https://jes-p.org/jes/pdf/eplilepsy_word20220105.pdf
部分発作
部分発作とは、過剰な電気的な興奮が、脳の一部分にのみ広がる発作です。部分発作は意識障害の有無によって「単純部分発作」と「複雑部分発作」に分けられます。
単純部分発作
単純部分発作とは、意識障害を伴わない部分発作で、発作のはじまりから終わりまでの発作症状を患者様ご自身で覚えている発作です。症状は、手足のつっぱりや全身のけいれん、体全体が片方に引かれるような運動機能障害、ピカピカする、輝く点が見える、耳が聞こえにくいなどがあります。また、自律神経の異常として吐き気や頭痛を伴う場合もあります。
複雑部分発作
複雑部分発作とは、意識障害を伴う部分発作で、意識を消失するため、意識障害だけでなく記憶障害を引き起こす発作です。意識障害はあるものの転倒することは少ないという特徴があります。症状は、ぼーっとしたり、急に動作が止まるなどの「意識減損発作」やフラフラと歩きまわる、口をもぐもぐ動かすなどの無意味な行動を繰り返す「自動症」が見られます。
二次性全般化発作
二次性全般化発作とは、単純部分発作や複雑部分発作の症状から始まり、意識を失い、手足をつっぱりガクガクとけいれんする「強直間代発作」に移行する発作です。発作が起こる前に前兆が見られることがあります。
全般発作
全般発作とは、過剰な電気的な興奮が大脳の両側から脳の広い範囲に広がる発作です。
強直間代発作
強直間代発作とは、全身が力み、ガクガクと全身を激しく震えさせる発作で、発作後は1時間弱程眠ってしまうことがあります。また、発作後は意識があっても朦朧としていることもあります。発作そのものよりも、朦朧状態で起こるケガに注意する必要があり、熱いものに触れて火傷しないようにしたり、物にぶつからないようにするなどの注意が必要です。
欠神(けっしん)発作
欠神発作とは、意識消失を起こす発作ですが、転倒したり、けいれんを起こすことはない発作です。発作は数十秒程度で治まります。話しかけても気が付かなかったり、話の途中で突然反応しなくなる、動作が突然止まるなどの特徴があり、目つきもぼんやりとするため、周囲からは無視していたり、集中力や注意力がないように思われやすいです。学童期や就学前の若い世代に多く、男児より女児に多い傾向があります。
脱力発作
脱力発作とは、全身の筋肉の緊張が消失・低下することで、崩れ落ちるように転倒する発作です。発作は数秒程度であるため、発作だと気づかれないこともあります。
ミオクロニー発作
ミオクロニー発作とは、手足の筋肉が一瞬ビクッと収縮する発作で、手に持っているものなどを投げたり落としてしまうことがあります。寝起きや寝入りに起こりやすく、光に誘発されることがある発作です。
てんかんの種類
てんかんの中には、部分発作や全般発作だけでなく、2つの特徴を併せ持ったり、2つのどちらにも該当しないような「分類不能てんかん」と呼ばれるものがあります。
特発性部分てんかん
- 良性小児てんかん(ローランドてんかん)
- 良性後頭葉てんかん
など
症候性部分てんかん
- 前頭葉てんかん
- 側頭葉てんかん
- 頭頂葉てんかん
- 後頭葉てんかん
など
特発性全般てんかん
- 乳児良性ミオクロニーてんかん
- 若年性失神てんかん
- 若年ミオクロニーてんかん
など
症候性全般てんかん
- ウエスト症候群
- レノックス・ガストー症候群
など
てんかん重積状態とは
てんかん重積状態とは、てんかんの発作が一定時間以上続く状態や、短時間で繰り返し起こる状態を指します。てんかん重積状態の場合は、早急に医師による治療が必要になることがあります。
てんかんの検査・診断
てんかんの疑いがある場合は、必要に応じて脳波検査や血液検査、CT検査、MRI検査など行います。当院で対応していない検査に関しては大学などてんかん専門医療機関を紹介させていただいています。てんかんと精神疾患の鑑別は難しいため、専門的な知識を有する医師が問診と検査をもとに診断していきます。また、てんかんの診断には発作の様子を患者様ご自身だけでなく、ご家族や周囲の方からもお伺いすることが重要です。発作の様子をビデオで記録していただくことも診断を行う上で有効です。
てんかんの治療
てんかんの治療は、薬物療法を中心に行っていきます。薬物療法では、発作の種類などをふまえ、薬を選択することが重要です。なお、当院での対応が難しい治療に関しては、高度医療機関へご紹介させていただいています。
てんかんと運転免許の取得・更新
2014年に施行された「改正道路交通法」と「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」によって、てんかんをお持ちの方は、運転免許の取得・更新に一定の条件が加わり、「適切な治療を受けており、安全な運転ができる状態である」という主治医の判断が必要となりました。てんかんをお持ちの方で運転免許の取得・更新に関してご不明なことがありましたら、主治医へご相談ください。
てんかんと妊娠
てんかんをお持ちの方も、病態が安定していれば妊娠・出産していただくことが可能です。しかし、安全で安心な妊娠・出産のためにはパートナーと話し合いの他に、主治医と事前に相談していただくことが重要です。特にてんかんをお持ちの方の妊娠・出産で注意したいのは、服用薬についてです。抗てんかん薬の中には、胎児への影響がある薬があるため、ご自身の判断で休薬せずに、主治医に必ず相談してください。
てんかん患者が利用できる制度について
てんかんをお持ちの方が利用できる社会制度があります。詳しくは、各行政機関の申請方法をご確認ください。
- 自立支援医療(精神通院医療)
- 精神障害者保健福祉手帳
- 障害者年金